平成最後の有馬記念も、3歳馬が制した。グランプリ競走「第63回有馬記念」(GI、芝2500メートル)が2018年12月23日、やや重の馬場状態の中山競馬場で行われ、池添謙一騎手騎乗のブラストワンピース(牡3 美浦・大竹厩舎)が優勝した。
大竹正博調教師は中央GI初勝利。池添騎手は有馬記念4勝目で、武豊や岡部幸雄、田原成貴、オリビエ・ペリエ各騎手を抜いて歴代最多となった。1番人気で17年ダービー馬のレイデオロがクビ差の2着。レイデオロ騎乗のクリストフ・ルメール騎手は「ハービンジャー(ブラストワンピースの父)の馬場でした」とコメントし、悔しがった。
池添騎手、満面の笑み「この馬はGI級」と言い続けてきた
2018年のダービー(5着)、菊花賞(4着)と、GIレースでは悔しい思いをしてきた。ダービーでは2番人気、菊花賞では1番人気に支持されていながら、その期待に応えられなかったことに、池添騎手は「こんなはずじゃない」「この馬の力はGI級」と言い続けてきた。それを、平成最後のグランプリの舞台で証明してみせた。
レースは、キセキ(17年の菊花賞馬)が逃げる展開。2番人気で、武豊騎手が騎乗するオジュウチョウサン、凱旋門賞(仏、GI)帰りのクリンチャーなどがそれを追走する。ブラストワンピースは中団から競馬を進め、直線では馬場の真ん中を力強く伸び、最後はレイデオロとの一騎打ちを制した。
勝ちタイムは2分32秒2。2着には1番人気のレイデオロ、3着にはシュヴァルグラン(ヒュー・ボウマン騎手)が入った。
ブラストワンピースは父ハービンジャー、母ツルマルワンピースという血統。デビュー3連勝で毎日杯(GIII)を制し、夏の新潟記念(GIII)では、古馬(4歳以上)を一蹴し、能力の高さを見せつけていた。GI挑戦は今回が3度目。通算戦績は7戦5勝。3歳馬の有馬記念優勝は16年のサトノダイヤモンド以来のこと。
「二刀流」オジュウ、快挙ならずも「見せ場つくった」
それにしても、今年の3歳馬は強い。その筆頭が牝馬のアーモンドアイ。桜花賞、オークス、秋華賞の牝馬3冠と海外馬を含む古馬と戦うジャパン・カップにも勝利するGI4勝を挙げた。また、マイルチャンピオンシップではステルヴィオ(牡馬)も古馬を蹴散らせてみせた。ダートでも、チャンピオンカップを制したのは3歳馬のルヴァンスレーヴだった。
ちなみに、アーモンドアイとブラストワンピースの馬主は、同じシルクレーシングだ。
また、10月14日の秋華賞のアーモンドアイ(クリストフ・ルメール騎手)の勝利から続いていた外国人騎手のGI勝利は10週連続でストップ。障害レースの絶対王者として参戦し、「二刀流」と注目されたオジュウチョウサン(牡7)は16年3月以来およそ2年9か月ぶりに敗れ、平地・障害を含む連勝記録が11でストップした。
インターネットの掲示板などには、
「最後の直線で見せ場はつくってくれた。久々に楽しくてワクワクする有馬記念だった。オジュウありがとう」
「ブラストワンピースも凄かった。池添騎手も日本人騎手の意地を見せましたね。人馬とも有馬記念優勝おめでとうございます」
「3歳世代強いな。オジュウチョウサンは残念だったがチャレンジしたこと自体に意味がある。来年どの路線に行くかわからないけど応援します」
といった競馬ファンの声が寄せられている。