SBGは約2兆6000億円を調達
ソフトバンク株は、ソフトバンクグループ(SBG)傘下の、いわゆる「親子上場」。新規上場に伴い、株式を売却したSBGは史上最大となる約2兆6000億円を市場から調達。18年6月のSBGの株主総会で、孫正義会長兼社長はソフトバンクの上場について、「ソフトバンクを上場して経営の独立性を高める。上場による資金を活用して『本来の姿』である、投資会社としてSBGの運営を推進する」と、その理由を説明した。
SBGを純粋な投資会社として運営していくというワケだ。孫社長はここ数年、世界各国の人工知能(AI)向けの投資を積極化している。さまざまな企業でグループを構成しながら、「300年続く企業体」を目指している。孫社長はソフトバンクの上場で得られる資金を通信事業の整備のほか、その多くをAIなどの「次世代ファンド」に投資する考えのようだ。
その一方で、上場を果たしたソフトバンクの事業環境は、なかなか厳しい。「格安ケータイ」の普及や楽天の参入による競争激化に加えて、2018年8月には菅義偉官房長官が「携帯電話料金は今より4割程度下げられる」と発言。政府からの料金の値下げ要請で、今後は収益が圧迫される可能性がある。
さらに、12月6日夕方に起こった大規模な通信障害や、米中の貿易摩擦がからむ中国・ファーウェイ問題といったネガティブ要因が発生。なかでもファーウェイ問題は、日本政府も米国に呼応し、本格的に「ファーウェイ排除」に乗り出すとみられる。
ソフトバンクの宮内謙社長は、上場初日(12月19日)の株価下落について「残念」と、言う。ただ、「(ネガティブ要因が続々噴出したが)上場の先送りはまったく頭になかった。厳しい環境での船出となったが、気持ちを引き締めていく」と、強調した。