ゴーンショックで大荒れの日産自動車には、弱り目に祟り目だ。2017年9月以来「4回目」となる検査不正が発見されたにもかかわらず、カルロス・ゴーン前会長の逮捕による混乱もあってか、経営陣の責任の所在をはっきり打ち出せていない。
しかも今回はブレーキなど安全性に直結する検査での不正だ。日産への世間の目は、いっそう厳しくなることが予想される。
ブレーキでの検査不正発覚
日産が新車を出荷する前に行う完成検査で新たな不正がみつかったと発表したのは、ゴーン氏逮捕から3週間あまりが立った2018年12月7日のこと。13日には、実際に国土交通省にリコールを届け出た。
リコールの対象車は、2017年11月7日~2018年10月25日に追浜工場(神奈川県横須賀市)で製造された「ノート」「リーフ」「ジューク」や、グループのオートワークス京都(京都府宇治市)で生産された「アトラス」「シビリアン」など11車種計14万8780台。前回までに無資格者による検査などで42車種114万3540台のリコールを届け出ており、今回と合わせ130万台規模になる。
不正事案は、ブレーキペダルの検査でサイドブレーキを使っていたほか、ハンドルの切れる角度を検査する際、あらかじめハンドルを左右いずれかに切った状態から測定するなど6項目。SUBARU(スバル)で2018年9月に発覚した検査不正を受け、改めて実施した社内調査で判明した。
日産は無資格者による検査のほか、燃費・排ガスのデータ改ざん、一部検査項目の不実施が明らかになり、9月末に再発防止策を盛り込んだ最終報告書を公表したばかりだったが、明らかになったのは、その後も不正が延々と続いていたという信じがたい実態だ。