元所長が語る児相の「本当の役割」
厚生労働省の発表によれば、児相に寄せられた児童虐待の相談対応件数は増加の一途をたどっている。17年度は13万3778件で過去最高。07年の4万639件から10年間で3倍以上となっており、児相が果たす役割は大きい。
大阪市中央児童相談所の元所長で、現在もNPO法人児童虐待防止協会の理事長として、児相と連携しながら活動を続ける津崎哲郎氏は21日、J-CASTニュースの取材に「児童相談所は子どもの福祉に関するあらゆる問題に対応するという位置づけです」と役割について話した。
「何らかの理由で家庭での養育が難しくなった子どもの相談、障害を持った子どもの養育に関する相談、不登校の子どもの相談などがあげられます。最近は虐待問題がクローズアップされ、『児相は虐待相談に対応する機関』というのが強調されていますね。ですが、守備範囲は非常に広いのです」
親の虐待の中でも、暴力となると報道でも大きく扱われ、SNSでも拡散されやすい。そうした事情もあり、「児相の子=暴力を受けた子」というイメージが抱かれてしまったのではないかという。
だが、「親に暴行された子どもが近所で暴力するかもしれない」という「心配」については、「実態とはまったく異なります。児相のまわりで子どもたちがウロウロしているわけではありません。一時的に保護している場合、その子どもは自由に外に出せません。地域の子どもと交わるということは基本的にないのです」と話す。その上で、
「前日まではその地域の家で暮らしていた子どもです。普通の子どもが、家庭の環境、親の事情などで、いまの家では養育できないために児相に来るのです。子ども自身は、地域の身の周りにいる子どもたちと何ら変わることはありません」
としていた。