日本アイスホッケー界の名門・日本製紙クレインズ(北海道・釧路市)をめぐり、突然の「廃部」が発表された。
日本製紙が2018年12月19日、会見を開き、今季限りでの廃部を明らかにした。
1949年創部の「十条製紙」が前身
シーズン真っただ中のアイスホッケー界に、衝撃が走った。アジア・リーグ制覇4回、現在も同リーグで2位につけている名門チームの、突然の「廃部発表」だった。
日本製紙クレインズは、1949年に創部した「十条製紙釧路工場アイスホッケー部」が前身だった。74年には日本リーグに加盟。しかし93年の会社合併に伴い、チーム名を「日本製紙」として新たなスタートを切った。北海道・釧路という厳寒の地の楽しみとして、多くの地元民からも愛されてきた。
同チーム担当者によると、
「選手に事実を伝えたのは、(12月)18日です。あまりに急な話だったので、『寝耳に水』状態。ショックを受けており、言葉が出ない様子でした」
と話す。
しかし、シーズン真っ最中の今、なぜ発表したのだろうか?
「『存続』か『廃部か』...という議論は、出ては消え、出ては消え...といった感じで、常に念頭にありました。しかし、本社の用紙事業が落ち込み続けいることもあり、断腸の思いで決断いたしました」
と、苦しい心境を吐露した。
背景には、「紙」自体の需要が減っていることがある。ネットやスマホの普及による「新聞の部数減」、また、企業の「ペーパーレス化」などが年々、進んでいることが挙げられるという。
チームを引き受けてくれる会社、ありませんか?
アイスホッケー界では1999年、栃木県・日光市の古川電工が廃部となった。しかし、地元の熱烈なファンの支持のもと、市民チーム「日光アイスバックス」として復活したという例もある。
クレインズのチーム担当者は、
「確かに、そういった例もあります。ただ現在は、選手のことを最優先に考え、チームごとお任せできる企業を探しています。まだ(廃部が)決定したばかりなので、これから探していきます」
と、今後に期待を込めた。
紙媒体の低迷によってのチーム廃部。それを新聞社が書いたことによってニュースとなる。それを、さらに我々、ネット媒体が記事化する...。
皮肉な話に思えてならない。
(J-CASTニュース編集部 山田大介)