「エンジン音で赤ちゃん泣きやむ」ぬいぐるみ試作 「販売して」の声、ホンダにぶつけると...

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   「車のエンジン音で赤ちゃんが泣きやむ」という現象を、本田技研工業(ホンダ)が本気で検証した。検証結果をもとに、エンジン音が鳴る「ぬいぐるみ」を製作し、東京都内で体験イベントを開催している。

   ただ、このぬいぐるみは「非売品」だ。企画の告知がツイッター上でなされると、エンジン音で子どもが泣きやんだ経験があるというユーザーが殺到し、ポップなデザインも相まって、「ぜひ市販してほしい」という声が相次いだ。商品化して販売する計画はあるのか、J-CASTニュースはホンダに話を聞いた。

  • 都内で実施している「Honda SOUND SITTER」の体験イベントの模様(写真提供:本田技研工業)
    都内で実施している「Honda SOUND SITTER」の体験イベントの模様(写真提供:本田技研工業)
  • 「Honda SOUND SITTER」(写真提供:本田技研工業)
    「Honda SOUND SITTER」(写真提供:本田技研工業)
  • 赤ちゃんが両手で抱えられるくらいのサイズ(写真提供:本田技研工業)
    赤ちゃんが両手で抱えられるくらいのサイズ(写真提供:本田技研工業)
  • 都内で実施している「Honda SOUND SITTER」の体験イベントの模様(写真提供:本田技研工業)
  • 「Honda SOUND SITTER」(写真提供:本田技研工業)
  • 赤ちゃんが両手で抱えられるくらいのサイズ(写真提供:本田技研工業)

「エンジン音で赤ちゃんが泣きやんだ」の声を検証

   ホンダは2018年12月17日、ぬいぐるみ「Honda SOUND SITTER」を製作したと発表。デザインはデフォルメした赤いボディのクルマで、赤ちゃんが両手で抱えられるくらいの大きさとなっている。

   その特徴は「『クルマのエンジン音には赤ちゃんを安心させる可能性がある』という実験結果をもとに生まれた、スピーカーを内蔵したぬいぐるみ」と説明されているように、専用スマートフォンアプリからの遠隔操作で、エンジン音を鳴らせることだ。普段はぬいぐるみとして遊ばせながら、泣き出したら音を出すという使い方ができそうだ。モニターからは「このぬいぐるみを使用したら泣き止んでくれました」という声も出ている。

   製作にあたりホンダは、専門家の監修・指導のもと「エンジン音で赤ちゃんが泣きやむ」ことを検証した。胎内の音とクルマのエンジン音は周波数が似ているといい、まずホンダ車の中でも特に周波数が似ているものを選定。30車種の中で、スポーツカー「NSX」が最も近かったとして検証に使用した。

   検証では、生後半年~1歳半の泣いている赤ちゃんに、NSXのエンジン音を2分聞かせた。すると、12人中11人が泣きやみ、その11人中7人は心拍数も安定したといい、一定の効果があるという結論を導いた。なお被験者数や実験方法は、論文「音刺激が新生児に及ぼす鎮静効果」(日本生理人類学会誌、2013年11月)を参照しているという。

   一体なぜ今回の企画が生まれたのか。ホンダの広報担当は18日、J-CASTニュースの取材に

「当社はものづくりの思想として『人の役に立つ』ことを大事にしています。SNSや街の声を聞いていくと、『エンジン音で赤ちゃんが泣きやんだ』というご経験をお持ちの方が多くいました。これを本気で検証したら、クルマを作り、移動を支える企業として、子育て中の皆様の役に立てるのではないかと思いました」

と話す。

「クルマを使用・購入しない人」の役にも立てれば

   検証は、「工業製品で行うような研究をしたわけではなく、実験も100%医学的な根拠を保証したものではありませんが、一定の結論が得られました。子育てする親御さんの困りごとに焦点を当て、1つのアイデアを出させていただきました」としている。また、「普段クルマを使ったり購入を検討したりしない方々のお役にも立てればいいと思っています。今回の企画はお客様との1つのコミュニケーションだとも考えています」とも話した。

   実際、電車やバス、店などへの外出で悩みを抱える親は少なくなかった。公式サイトには、ホンダが母親207人を対象に実施したアンケートの結果を掲載。「子どもが泣いてしまうことを心配して、外出することが億劫になるか」という質問に、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」と答えたのは合わせて75.3%にのぼっていた。

   検証に使ったのはNSXだが、ぬいぐるみのデザインは「特定の車種に寄せていません。それよりも、赤ちゃんに親しみやすいデザインにしたいと考えて作りました」とのことだ。エンジン音は公式サイトでスマートフォンからも聞くことができ、広報担当は「年末年始、移動や、人の集まる場所に行くことも増える中で、サイトを通じてお試しいただければと思います」と話す。18~24日には東京都内で、ぬいぐるみの体験イベントを実施。スマホアプリとセットで3台設置してあり、来場者はタッチ&トライができる。

「お声を真摯に受け止め、今後の展開を考えていきたい」

   ただ、ぬいぐるみ自体は「非売品」だ。ホンダが今回の企画を紹介したツイッター投稿には、共感したユーザーから、

「ぜひ販売してほしいです。自分の子供にも、友人の出産祝いにもほしいです」
「ぬいぐるみ非売品じゃなくて、販売して欲しいですね」
「こちら、ぜひ商品化をお願いします...!4か月になる娘が毎晩1時間半以上も大声で泣き、精神的にやられていましたが、今日サイト内のエンジン音を聴かせたところ、ぴたりと泣き止みました!ぜひよろしくお願いします。必ず買いたいと思います」

と商品化を求める声が相次いだ。

   こうした要望について広報担当は、「ありがたいお声を頂戴しています」と感謝したうえで、

「当社としては、取り組みを紹介させていただき、関心を持っていただくこと、ウェブサイトから体験していただくことが第一です。皆様のお声はとても力になります。お声を真摯に受け止め、今後の展開を考えていきたいです」

と話していた。

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