俳優の織田裕二さん(51)が主演するドラマ「SUITS」(フジテレビ系)の最終回が2018年12月17日に放送され、全編の放送が終了した。同作は共演者として「東京ラブストーリー」(1991年放送)でヒロインを務めた鈴木保奈美さん(52)が出演したほか、その他豪華共演者も話題を集めるなど前評判は上々。全編放送終了後のネット上でも「最終回に満足した!」といった評価の声が続々だが、その一方で、「月9復活ならず」との厳しい声も多い。
実際、各メディア発表の視聴率を見てみると、同作の最終回視聴率は10.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・以下同)と、何とか10%台を死守した状態。月9の最終回といえば、それこそ、「東京ラブストーリー」が32.3%をたたき出すなど、かつては20、30%超えも。時代が違うとはいえ、「SUITS」の数字からただよう寂しさは否めない。
前評判は今一つだった「今日俺」
その一方で、「SUITS」最終回の前日に放送された「今日から俺は!!」(日本テレビ系)は、最終回の視聴率が12.6%と「SUITS」を上回る結果に。同作は漫画が原作だが、放送前には「実写化するとつまらなくなる」など、実写化ドラマには「宿命」とも言える批判が続々と出たほか、出演者の賀来賢人さん(29)や橋本環奈さん(19)が「ヤンキーに見えない」という声が出るなど、視聴者からの声は厳しいものだった。
しかし、ふたを開けてみれば、第1回の9.8%から一進一退の期間を経てじわじわと視聴率を上げ、最終回では12.6%に。事前に上がっていた散々な前評判をはねのけての快挙となった。実際、ネット上の声も回を追うごとに好意的なものが出てくるようになり、最終回に対しては、「本当に楽しめたよ」など、絶賛が相次いだ。
この傾向を分析すべく、他にも前評判と視聴率が釣り合わないドラマを挙げるならば、やはり、「獣になれない私たち」(日本テレビ系)だろう。同作は2016年放送の「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系)で主演を務めた女優の新垣結衣さん(30)が主演を務めたほか、やはり「逃げ恥」で脚本を務めた野木亜紀子さんが起用されるなど、前評判は上々で、第1回の視聴率は11.5%を記録した。
視聴者の「共感」をより呼んだのは...
しかし、その後は急落することこそなかったものの視聴率がジリジリと下がり、最終回は8.3%と、やはり、前評判に釣り合わない結果となった。
前評判と最終回の視聴率が「反比例」してしまい、実写化ドラマが月9ドラマを上回るという「下剋上」が起きた2018年秋期のテレビ界。前述の3つのドラマの内容をよくよく見てみると、「今日俺」が「田舎のヤンキー高校生の日常を描くドラマ」であるのに対し、「SUITS」と「けもなれ」が「都市で仕事に精を出すビジネスパーソン」という、対照的な構造が見えてくる。
また、海外ドラマを原作とする「SUITS」、働き方問題などをはじめ現代社会に鋭く切り込んだ「けもなれ」と、ある種の「意識の高さ」も漂わせていた。
このあたりの好対照が、「下剋上」の原因だったと言えるかもしれない。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)