エスカレーターでは歩かないでください――JR東京駅で、職員らによるこんな呼びかけや、文字表示による本格的な啓発活動が始まった。
ネット上で賛否の声が出るなか、趣旨に賛成しつつも実際に2列で並ぼうとすると、これまで通り右列を歩こうとする人から「キレられるのが怖い」という不安感を訴える声も。実際に「歩かず2列で立ち止まって乗る」ことを定着させるためには、もっと工夫が必要だと、アイデアを披露する人も出ている。
「キレられるのが怖いんだよね」
JR東日本が2018年12月17日に始めた啓発活動では、エスカレーター前で職員らが呼びかけたり、2列で並んで利用する姿を床に描いたりした。他にも、手すりに「歩かないで」と表記し、壁いっぱいの大き目の掲示板も設置された。警備員が、同様の呼びかけが書かれた蛍光色のベストを着て巡回する取り組みも行われている。
2列用のエスカレーターは、安全面や効率面から「2列で立ち止まって乗る」のが本来の利用法だとして、JR東はこれまでもポスターなどで呼びかけていたが、今回のような本格的啓発は初めてとしている。現状では、左列に立ち止まって乗る人が並び、右列は歩いて通る人のためにあけておく光景がよく見られる。「歩行者のための片側あけ」は、各地でみられるが、あけるのが右列か左列かは地域差があることが知られている。
JR東の初日の活動は、NHKなどテレビニュースでも紹介された。ただ、複数の番組映像を見た印象では、「右側をあけておく」利用法が続いているようだった。
今回の呼びかけに対し、ツイッターでは賛成・歓迎派の声が出る一方、反対・現状維持派からの反論も寄せられていた。そんな中、自身としては賛成ではあるが、「2列で~」を実践しようとして右列に立ち止まって乗った場合、従来通りに右列を歩こうとする人から文句を言われるのが怖い、という指摘も出ていた。
「右側で止まったら蹴り飛ばされると思う」
「それ(実行)してキレられるのが怖いんだよね」
といった調子だ。こうした懸念もあり、「呼びかけ」だけでは現状を変えるのは難しいのではないか、といった指摘も出ている。実際、17日夜の「NHKニュース7」の映像でも、右側を歩く人の姿が確認できた。番組内でも、呼びかけを受けて右列で立ち止まる人の姿もみられたが、「(あいている右側を)歩いて先を急ぐ人が目立ちました」と指摘していた。