弁護士「自身の文章がほとんどないと『引用』ではない」
アディーレ法律事務所の長井健一弁護士は、取材に「テキストのほとんどが引用で、自分の文章がほとんどないような場合には、『引用』にあたりません。引用元の記載がないような場合も、著作権法違反となります」と話す。
引用のルールは著作権法で定められており、
「引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない」
などとある。
長井弁護士によれば、
(1)引用する側の著作物と引用される側の著作物とが明瞭に区別して認識できる
(2)引用する側の著作物が「主」で、引用される側の著作物が「従」といえる
――の2点も必須で、J-CASTニュースの記事「森田童子さん~」を転載した動画は、
「ほとんどが引用であり、最後のわずかな部分のみ自己の文章となっています。この場合、主従関係がなく、そもそも『引用』にあたらないので、著作権法違反となります」
ユーチューブの投稿をめぐっては、小学館が発行する人気漫画のページやセリフを転載した「ネタバレ動画」が著作権侵害に当たるとして、東京地裁は18年11月、米ユーチューブ社に対し、投稿者の発信者情報を開示するよう命じる仮処分を決定した。
テキスト動画についてはどうか。長井弁護士は、
「文字だけでも開示請求が認められるかは、今後の裁判例の集積を待つことになります」
と説明する。
(J-CASTニュース編集部 谷本陵)