トレンド分析「CM総合研究所」の見解は...
バブル期の1980年代には、俳優・時任三郎さんの「♪24時間、戦~えますか?」(リゲイン=第一三共ヘルスケア)」、2000年代には「♪た~らこ~ た~らこ~」(キユーピー)といった、オリジナルソングをモチーフとしたCMも登場した。そこから一大ムーブメントが起こり、逆にCD化、グッズ化された経緯もあった。
ところが近年は、トライの「ハイジ」にとどまらず、docomo「一休さん」シリーズや、UQモバイル「UFO(ピンクレディー)」、Y!mobile(ワイモバイル)「YMCA(故・西城秀樹さん)」等々...。近年はCMの「温故知新化」が加速しているように感じる。
そこで、J-CASTニュース編集部では、CMトレンドなどを分析する「CM総合研究所」(以下、CM総研)に取材を試みた。
「そうですよね。確かに、そういった傾向が見られます。これは現代、スマホ等で『ながら視聴』をする人々が増えていることが一因かと思います。そんな中で『誰しもが知っているコンテンツを使用する』というのは、(視聴者に)振り向いてもらうために有効な手段の1つだと考えています」
なるほど~。「目に訴える」のではなく「耳に訴える」ことで、ユーザーの脳裏に残りやすい懐メロを使用している...ということのようだ。
なかには「ネタかぶり」も。「Indeed(インディード)」のCMでは、さまざまな人物に扮した斎藤工さんと泉里香さんが『幸せなら手をたたこう』のメロディーで「♪仕事探しはIndeed」などと繰り返し歌っているが、「WOWOW」もまた「♪フフフフーンに入ろっかな」という同曲の替え歌をモチーフに展開した。
さらに「LINEモバイル」では、本田翼さんが「いい湯だな」の音楽でサービスを訴求し、ダンスを踊るCMを展開。4年連続CM好感度ナンバーワンに輝いた「au」の「三太郎シリーズ」は日本人なら誰もが知る昔話が題材だ。
CM総研担当者は、
「このように昨今では、昔流行った楽曲(ヒットソング)や昔話などが、CMに使用されているのが目立つ。これらCMは、CM総研が毎月『消費者3000人に行っているCM好感度調査』においても高い支持を獲得しています」
と話す。
過去好評だったCMそのもののリバイバルもある。「スタッフサービス」では、1997年のCMで使用した「弦楽セレナーデ第一楽章」のBGMや、電話番号の語呂を合わせて使った「上司に恵まれなかったら、オー人事オー人事」といったナレーションをリバイバルし、さまざまな職場でのミスマッチに困り果てる人々をコミカルに描いている。