55-5。2018年12月15日、東京・秩父宮ラグビー場で行われたラグビー日本選手権決勝戦。神戸製鋼(以下、神鋼)が、大差でサントリーを退け、実に18大会ぶりの優勝を勝ち取った。
記者も30年以上、ラグビーをプレーし、また取材もしてきた。だが、社会人トップリーグ(TL)同士の決勝戦で、ここまで大差がついた試合は、記憶にない。試合開始早々から「深紅の軍団」神鋼が「タイガージャージ」サントリーを圧倒した。
普段からの「気合い」「ハート」「体の当て方」の差か...?
18大会ぶりのVを狙う神鋼と、3連覇を目指すサントリー。まず、試合の入り方が決定的に違った。神鋼の「10番」で、ニュージーランド代表「オールブラックス」のキャップ(国際マッチ出場回数)112を誇るダン・カーターのキックオフでスタート。神鋼は相手陣内へと一気になだれ込み、ターンオーバー(相手のボールを奪うプレー)から、開始わずか2分で先制トライを奪った。
一方のサントリーは、こちらも世界屈指のオーストラリア代表「ワラビーズ」で、キャップ103を誇るマット・ギタウを擁していた。この「世界レベル」の対決に注目が集まったが、結果的には、神鋼が圧倒。50点という大差がついてしまった。
その要因は「ブレイクダウン」の差だった。
ラグビーにおける「ブレイクダウン」とは、「タックルが成立した後の、密集でのボール争奪戦」のことだ。たとえば、前にふれた先制トライの場面だ。
キックオフのボールは、サントリーがキャッチ。スタミナに自信を持つサントリーは、果敢にボールを展開してきた。しかし、その直後、神鋼のNO8で出場した中島イシエリ選手の「ブレイクダウン」から「ターンオーバー」し、ボールを獲得、先制につなげた。
こうした場面が随所にみられ、神鋼はブレイクダウンでサントリーを大きく上回った。