福岡市は「アジアでいちばん幸せ」な街になれるか 高島宗一郎市長インタビュー

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指原莉乃も嘆く「箱がない」問題

―― 12年時点の福岡市の推計では、人口は35年の160万人をピークに減少するとされていますが、高島市長は「想定をどんどん壊していきたい」「集まれば集まるほど、もっと栄える」と発言しています。実際、数年以内に160万人を超える可能性が高いですが、人口増にはリスクがある、という指摘もあります。大きくふたつあり、ひとつが「箱」の問題です。2019年に日本で初めて開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議は福岡市での開催が有力視されていましたが、ホテルの収容数がネックになって大阪市の開催になりました(福岡市では財務相会議を開催)。コンサートの会場もそうです。例えば福岡市を拠点にするアイドルグループのHKT48は18年12月15日に東京でコンサートを開きますが、福岡開催を望むファンの声に、指原莉乃さんは「人気の場所なのに会場がなさすぎる」とツイートしています。

高島: これは、福岡市が正しい成長の過程をたどっているということなんですね。私の名刺にも刷ってある「FUKUOKA NEXT」というマークは、矢印で福岡を次のステージに進めることを表していますが、次のステージに上がるにあたって成長痛を可視化するというのは非常に重要なキーワードです。この成長痛を市民と共有できる前に「ホールを作りましょう」「滑走路を増やしましょう」「ホテルを増やしましょう」というと、「ハコモノ行政」だと言われてしまいます。

―― ハコモノが先行すると批判が出ますね。

高島:街の大きな絵を描いていくときに、ソフトからハードの順番で施策は進めていく必要があります。「それだけの需要はあるんですか」「それは本当に活きるものになるんですか」ということをきちんと証明できる前にハードを作ってしまうとハコモノと言われるし、場合によっては本当に失敗する可能性もある。だから福岡はソフト施策をまず充実させてきたんです。これで交流人口(福岡市を訪れる人の数)を増やすとか、国際会議もどんどん手を挙げるとかMICE(マイス=国際会議や展示会など)もどんどん手を挙げる中で、供給よりも需要のほうがものすごく大きくなった。その結果、今、箱が足りない、供給力が足りないことによってMICEなどをお断りしています。機会損失がものすごい額生まれています。この問題をアイドルがツイートするくらい、市民の間で問題が可視化されて問題意識を共有できたということなんですよ。これは、極めて狙い通りの成長の過程をたどっているということです。
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