福岡市は「アジアでいちばん幸せ」な街になれるか 高島宗一郎市長インタビュー

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高度人材を囲い込むための先行投資

―― 福岡市は12年に「スタートアップ都市」を宣言しました。18年8月に博多ラーメンチェーン「一風堂」の都内店舗で行われた福岡市への移住促進イベントに招待されたのはエンジニアで、そこでアピールされたのは福岡市のスタートアップ企業でした。呼び込む対象として彼らを重視する理由を教えてください。

高島: 大きくふたつあります。ひとつが、福岡市は全国に20ある政令指定都市の中で唯一、1級河川がありません。つまり川から大量に取水できないので工場が作れないという都市としての弱点があるわけです。だからこそ知識創造型産業っていうところで生きていくしかないという宿命を背負っています。
もうひとつが、企業においても社会においても、生産性の向上が言われているなかで、「人は少なくて済む」時代になっていきます。人の代わりに、人工知能(AI)やテクノロジーがカバーしてくれるとなった時に職がなくなってしまう。一方でそうかもしれないけれども求められる職種もあるわけですね。それがまさに新しくビジネスを作っていく分野で、その技術を裏で支えるエンジニアがきわめて重要になってくる。ですから、こういう高度人材をいかに街として抱え込めるかが、これから成長していけるかどうかの鍵です。仮に福岡で起業家が生まれても、それを支えるエンジニアがいなければスケールアップしていきません。今から時代が来る先を読んで、そこに私は先行投資をしているつもりです。間違いなくこの人たちの時代がきます。いいエンジニアが集まる環境を早く作っておくことが重要です。

―― 福岡市内の総生産のうち約9割が、サービス業などのいわゆる第3次産業です。こういったこともあって、ゲーム開発会社の「レベルファイブ」、ウェブサービスの「ヌーラボ」やLINEの第2拠点など、情報通信産業で福岡市に拠点を置く会社の存在感も増しています。

高島: エンジニアは結構転職もあるので、仮に福岡に居を構えて家族ができ、子どもが学校に行き出したときに転職しても、福岡にエンジニアを雇用する会社が少なければ「東京に引っ越さないと」と転校せざるを得なくなります。でも、福岡に企業を集積させておけば福岡の中で転職の選択肢が広がるので、子どもを転校させずにすみます。圧倒的なコミュニティを、ここに今作っておくことが大事です。福岡市が「スタートアップ都市」を宣言したのは12年ですが、それから6年ほど経った今になって、他の都市もその重要性に気づき始めています。福岡は次の段階、エンジニアに注目しています。いい人材を福岡で囲い込んでおきたいです。
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