とあるホテルが複数の宿泊予約サイトに「実際は泊まらないプラン」という宿泊プランを掲載し、インターネット上でその用途が話題になった。
J-CASTニュースがサイト運営会社に問い合わせると、ある社は「コンプライアンスに抵触する」と回答。同プランはサイトから取り下げられた。一体どういう意図で「実際には泊まらない」とうたうプランを用意していたのか。
「様々な事情により、実際にはお越しいただけない方のためのプラン」
掲載していたのは、鹿児島県内のホテル。あるツイッターユーザーが2018年12月9日、「実際には泊まらないプラン」が掲載された宿泊予約サイト「楽天トラベル」のスクリーンショットを投稿すると拡散されていた。
サイト上の説明によると、同プランの利用可能期間は12月1日から19年5月末まで。シングルタイプで朝食夕食なし。風呂もないが、無料シャワーブース利用可、ネット環境あり、無料Wi-Fiルーター貸出可という内容。価格は大人1人で1泊2200円(税込、以下同)となっており、同ホテルの他のシングルタイプが軒並み3000円以上であるのと比べると、格安の印象を受ける。
プラン名もさることながら、気になるのは「様々な事情により、実際にはお越しいただけない方のためのプランです」という説明文。ツイッター上では、
「架空出張用か」
「カラ出張用かしらねぇ...」
「アリバイ工作用かなぁ。そこに行ってました、って実績が必要な人向け」
などといった声が続々とあがった。
「飛行機+宿泊のパック料金で飛行機に乗りたいけど、実際には宿泊する必要がない人用のプランのようですね」と解釈するユーザーもいる。航空券だけが欲しい時でも、航空券と宿泊券のパッケージで購入したほうが安く済む場合があるためだ。ただ、同プランは「航空券付き宿泊プラン」ではなく、「宿泊のみのプラン」として掲載されている。
J-CASTニュースは10日、このホテルに「実際は泊まらないプラン」はどんな意図で用意しているのか聞いたが、「お答えする必要はないと思います」として回答は得られなかった。
サイト運営会社「誤解を与えるプラン」
同プランは楽天トラベルに加え、「じゃらん」にも掲載されているのが確認できた。プラン名、プラン内容、説明文は両者同じだった。
こうしたプランに何か問題はないのだろうか。楽天トラベルを運営する楽天(本社・東京都世田谷区)に10日、問い合わせたところ、広報担当は翌11日、
「弊社のコンプライアンスに抵触するため、速やかにプランの取り下げを要請しました。楽天トラベル宿泊予約を扱うサービスですので、そもそも宿泊を前提としていないプランを掲載するのは適さないと判断したためです。現在は取り下げられ、当該プランが掲載されていない状態になっております」
と回答。確かに同日時点で、サイトから「実際は泊まらないプラン」は閲覧できなくなっていた。
カラ出張の記録用に使うためのプランだったのではないか、という指摘については
「そのような意図で掲載されたプランではなかったと認識しております。ただ、そういった誤解を与えるプランですので、掲載は取り下げてもらうよう要請しました。ホテル側としては、『ユーザーの要望があって作成したプランである』ということでした」
と答えた。「要望」の詳細は明かしてないという。担当者は「このようなプラン掲載がないよう、再発防止に努めてまいります」と話していた。
「じゃらん」を運営するリクルートライフスタイル(本社・東京都千代田区)の広報担当も10日、取材に対し「規約違反の可能性がありますので、弊社から宿泊施設にご連絡させていただきます」と回答。規約は外部に公開していないため、詳細は答えられないとした。翌11日、やはり「実際は泊まらないプラン」の掲載は取り下げられていた。
J-CASTニュースは13日、改めてホテルに、両サイトでプランを取り下げた理由を尋ねたが、「サイト側から取り下げてくれと言われたので」という答えのみだった。