高橋洋一の霞が関ウォッチ
河野外相の「次の質問どうぞ」発言は問題なのか

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河野外相と記者クラブの関係性

   もともと河野外相と外務省記者クラブとの関係はよくない。諸外国との外相会談では冒頭取材があるが、河野外相はしばしば英語で行う。これに対して、記者クラブから、日本語でやってくれとの要望があったが、河野外相は外務省記者クラブにくるのだから、英語くらいできる人をよこせと言った。外務省記者クラブにいく記者は政治部記者が多いので英語ができない人も少なくなく、この発言は反発を受けた。

   もう一つの可能性は、外交での当然である。7日のロシアのラブロフ発言をみるかぎり、まだ会談日程すらセットされていない状況だ。外交交渉では、会談日時の設定が最優先で、内容はその次だ。

   北方領土問題では、ロシアにとって日本と交渉することは現状より後退だ。なので、ロシアが交渉しない口実を交渉外で主張するのは常套手段だ。一方、日本は交渉に持っていけなければ何も得られない。ロシアに日本が交渉外で応じると相手の土俵に乗っかり不味くなる。

   安倍総理のこれまでのプーチン大統領との関係で、ようやく交渉開始まで漕ぎ着けたので、実際に会談日程のセットについて、日ロで協議中ならば、交渉外での余計な一言は有害無益だ。

   河野外相は、政治部出身記者の「外交音痴」を皮肉りつつ、国益を守ったのかもしれない。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「未来年表 人口減少危機論のウソ」(扶桑社新書)など。


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