米国の、国家レベルでの圧力
ファーウェイとZTEを「排除」する米国主導の動きは、情報漏洩など安全保障上の懸念に対応するためとされる。だが、中国世論はこれに疑義を唱える。ファーウェイとZTEへの「情報漏洩」などについての米国の調査はこれまで数年続いているにもかかわらず、漏洩の事実は見つかっていないではないか、そうした問題があったなら、米国やその同盟国の世論は黙っていないはずだろう、現にドイツなどは「ファーウェイなどを排除する必要はない」としているではないか......。
こうした世論が一般的だといえる。さらに、次世代の主戦場、5Gを巡る覇権争いを見据えた意見も増える一方だ。
現行の4G方式でも、日本国内ではソフトバンク1社が基地局にファーウェイとZTE製機器を採用しているが、中国側の発表によれば、世界全体では中国製品は40%のシェアを獲得している。
5G分野でも、華為やZTEなど中国製通信機器の性能は、米欧製品と肩を並べ、価格は明らかに安い。中国と欧米とが5Gの符号化方式をめぐる角逐を続けているこのタイミングで、ファーウェイ、ZTEをたたかねば、米国のクアルコムは太刀打ちできなくなってしまう......。
中国世論は、米国がファーウェイとZTEを排除する目的は、国家レベルで中国企業に圧力をかけ、米国企業が5G分野での競争力をつける手助けをしているとにらむ。そして、日本の動きはその米国に追随していると映っているのだ。
(在北京ジャーナリスト 陳言)