ラジオの聴取率調査週間が、2018年12月10日から始まった。ラジオではテレビのようにリアルタイムの計測ではなく、2か月に1回、1週間(首都圏の場合)にわたって行われる。調査期間が限られているため、対象地域のAM・FM各局は「スペシャルウィーク」などと題して、通常よりも豪華なゲストやプレゼントを用意して、リスナーへの売り込みを行うのが通例だ。
しかし、長らく首都圏のラジオ首位をキープしてきたTBSラジオが、今回から「スペシャルウィーク」の名称と、その期間の特別編成やプレゼントを取りやめた。この方向転換、吉と出るか凶と出るか――。
17年4か月連続で聴取率トップ
ラジオの聴取率調査は、首都圏ではビデオリサーチが1990年から実施。東京駅を中心とする半径35キロ圏内をエリアに、12~69歳の男女3000人を対象に、1週間分の日記式調査で行われている。偶数月に1週間ずつ、年6回のペースだ。
首都圏ではここ最近、TBSラジオがトップで、J-WAVE、ニッポン放送が追う状況が続いている。そんな中ながら、TBSラジオがみずから「脱聴取率争い」を打ち出した。三村孝成社長は2018年11月28日の会見で、これから「スペシャルウィーク」の名称は使わないと明言している。
発表資料によると、10月期の調査結果は0.9%となり、01年8月から104期(17年4か月)連続となる首位を達成した。しかしながら、対象全局の聴取率を合算した「SIU (セット・イン・ユース)」は、5期連続で5.2%と低迷。聴取率争いが媒体価値の向上に結び付いていないとし、今後はリアルタイムでリスナー数がわかる、ネット配信の「radiko(ラジコ)」のデータを指標として参照するとしている。
TBSラジオにとっては、17年をもってプロ野球ナイター中継を終了したことに次ぐ、大きな変化となる。ただ、タイミングが間に合わなかったのか、今週の各番組は、普段はパーソナリティーのみで進行されるのにゲストが招かれたり、いつも録音なのに生放送になったりなど、そこかしこにスペシャルウィークの名残がある。方針転換の影響が出るのは、もう少し先になりそうだ。
北海道では「現金128.7万円」のプレゼントも
ライバル局の動向はどうだろう。ここぞとばかりに、ゲスト・プレゼントの両面から攻勢をかけているのが、ニッポン放送だ。午後のワイド番組「土屋礼央 レオなるど」では、クイズ形式で「総額100万円相当」の賞品をプレゼント。ビートたけしさん、明石家さんまさんといった超有名タレントから、映画「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督のような「時の人」までをパーソナリティーに起用した特別番組を組む。
また、文化放送は「肉祭」と銘打って、ワイドを中心とした10番組で、A5ランクのロース肉や名古屋コーチン、ヒレステーキ、いきなりステーキや叙々苑の商品券などをプレゼント。いつも通りのスペシャルっぷりを見せている。
12月期は関西圏や中京圏などでも、聴取率調査が行われているが、なかでも力が入っているのが、北海道・HBCラジオの「冬の大感謝週間」だ。周波数(1287kHz、91.5MHz)に引っ掛けて、現金128万7000円を1人にプレゼントするほか、外れた人を対象に1万円分の旅行券が「91.5人」(実際は92人)にあたるキャンペーンを実施。また「あなたの笑顔は みんなの笑顔!」をキャッチフレーズに、応募1通につき1円を胆振東部地震の被災者へ寄付する。