順天堂大学が医学部入試で、女子は「コミュニケーション能力が高い」ことを理由に一律減点していたことが第三者委員会の調査で明らかになり、インターネット上で「意味不明」だと呆然とする声が相次いだ。
順大は2018年12月10日、会見を開いて調査結果と今後の対応について説明するとともに、調査報告書をウェブサイトで発表。コミュニケーション能力を理由とした女子の減点には「正当性・合理性が認められる」ことを、「複数の教員」が説明していたという。
「女性の方が精神的な成熟が早く...」
文部科学省の訪問調査で指摘を受けたことを機に、順大は10月18日に第三者委を設置。17~18年度の医学部入試について調査を進めていた。
発表された報告書では「受験者の性別を理由とする不利益取扱いを内容とする合否判定基準」が定められていたことを指摘。医学部職員へのヒアリング調査を実施したとして、
「大学受験時点における男女を比較すると、女性の方が精神的な成熟が早く、男性より相対的にコミュニケーション能力が高い傾向があり、また、大学入学後において男性側の成熟が進み、男女間のコミュニケーション能力が縮小され、解消される傾向がある」
との理由で、入試時に女子の面接評価を補正する必要があったとの説明が、「多数の教職員」によりなされたとしている。
医学的にも検証されていると、学術論文などの資料も提出されたという。こうした男女間の成績補正は「正当性・合理性が認められる」との説明も、「複数の教員」からなされたとしている。
「女子はコミュニケーション能力が高い」ことを理由とした一律減点は衝撃を与えている。産婦人科医の宋美玄(そん・みひょん)氏は11日、ツイッターで、
「『女子が男子よりも精神的な成熟が早く、受験時はコミュニケーション能力も高い傾向にあるが、入学後はその差が解消されるため補正を行う必要があった』なんてどういう根拠で言ってるの?順天堂大学、大丈夫??」
と困惑。労働社会学者で千葉商科大学専任講師の常見陽平氏は同日ツイッターで、
「『女子はコミュ力高い』って、その認識自体あれだけど、よく会見で公言したな、と。そして、この言葉はコミュ力に自信のない女子を傷つける。女子像の押し付け」
と呆れと怒りをにじませた。