オリックスから阪神にFA移籍した西勇輝投手(28)の人的補償に関して、オリックスが阪神に心理戦を仕掛けている。オリックスが人的補償を選択した際に、阪神の主力選手の獲得に動く意向であることを2018年12月10日、複数のスポーツ紙が報じた。メディアを通じた心理戦に阪神はどのように応戦するのか、注目が集まる。
オリックスは、西投手のFAでの阪神移籍に伴い、阪神に対し補償を求めることが出来る。西投手の今季の年俸は1億2000万円で、オリックスの中では上位4位から10位の間のBランクとみられる。Bランクの選手がFAで移籍した場合、それまで所属していた球団は、移籍先の球団に年俸の60%の補償金、もしくは人的補償プラス年俸40%のいずれかを選択出来る。
オリックスが人的補償を求めた場合、阪神は人的補償から逃れられる28選手のプロテクトリストを西投手との選手契約締結から2週間以内にオリックスに提出しなければならない。球団は来季のチーム編成を考慮し、主力の確保、若手育成など総合的に判断してリスト作成に取り掛かるが、これを前にオリックスに先手を打たれた形だ。
オリックスは年俸度外視のベテラン獲りへ意欲も...
オリックスの球団関係者が獲得に前向きだった選手は、前オリックスの糸井嘉男外野手(37)、福留孝介外野手(41)、鳥谷敬内野手(37)、藤川球児投手(38)、能見篤史投手(39)ら主力ベテラン勢。これらの選手がプロテクトから外された場合、高額年俸を度外視してまでも獲得に動く意向を示している。
オリックスが仕掛ける心理戦に阪神の球団関係者は、この情報をダミーであると受け止める。
「このオフでオリックスは金子と西の先発2枚を失った。この穴は大きい。オリックスが今ほしいのはベテラン選手ではなく、将来的にローテーションの一角を任すことが出来る投手。2年前の金田のような25歳前後の将来性のある投手を狙っているはず」
今オフ、オリックスは西投手をはじめ、金子千尋投手(35、日本ハムへ)、中島宏之内野手(36、巨人へ)が他球団に移籍し、小谷野栄一内野手(38)が現役を引退。これに対して、現時点での補強はフィリーズ傘下3Aのジョーイ・メネセス内野手(26)を獲得したのみで、投手陣に至ってはまだ手付かずの状態にある。
また今オフ、金子投手(6億円)、中島内野手(3億5000万円)、西投手(1億2000万円)ら高額年俸者の退団によってオリックスは10億円以上が浮くことになるが、前出の関係者によると、これは新外国人らの補強費用としてストックされ、プロテクトから外れた阪神の選手には充てられないという。