近江鉄道の「現場社員の声」が話題に 保存機関車の今後めぐり「会社から『言うな』と言われている」

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   近江鉄道が運営する「近江鉄道ミュージアム」(滋賀県彦根市)の閉館日に、同社鉄道部名義で「もはや現場の社員がいくら声を上げようと取り合ってくれません」などと書かれた張り紙が掲示されていたことが分かった。

   閉館への強い不満を表明した内部告発とみられ、近江鉄道の担当者は「誰が張ったかはわからないですが、おそらく弊社の社員だと思います」と話す。一体、何があったのか。

  • 閉館当日の様子(@hankyu2301_0321さん提供)
    閉館当日の様子(@hankyu2301_0321さん提供)
  • 実際の張り紙(@hankyu2301_0321さん提供)
    実際の張り紙(@hankyu2301_0321さん提供)
  • 閉館当日の様子(@hankyu2301_0321さん提供)
  • 実際の張り紙(@hankyu2301_0321さん提供)

「座して死を待つよりはずっといいでしょう」

   近江鉄道ミュージアムは2007年、彦根城築城400年祭を機に開館。鉄道に関する資料や電気機関車を月に一度無料で展示し、鉄道ファンらから親しまれてきた。

   しかし18年12月8日、老朽化を理由に閉館となり、当日は約1600人が詰めかけ別れを惜しんだ。

   物議を醸しているのは、閉館当日に最寄り駅の彦根駅に掲示された張り紙だ。近江鉄道の鉄道部名義で、これまでの感謝とともに、

「皆様も薄々感じておられるかと思いますが、保存しております電気機関車の行く末は非常に厳しいものになっております」

と、展示していた電気機関車の今後を危惧。「会社から『言うな』と言われているので詳細は申し上げられない」としつつ、「これから彼ら(編注:電気機関車)が進む道の先は暗黒そのもの」だと訴えている。

   文末には鉄道部のメールアドレスも掲載されており、

「もしこのイベントで少しでも感じることがありましたら、その感じたことを教えてください。もはや現場の社員がいくら声を上げようと取り合ってくれません。お客様の声が、暗黒の道に街灯を灯すことになるかもしれません」

   その上で、ミュージアムで販売しているグッズの購入を懇願し、

「機関車にはお金を集める力があるということを見せつければ、それもプラスになるかもしれません(中略)座して死を待つよりはずっといいでしょう」

とつづっている。

近江鉄道担当者「(閉館に)鉄道部からの反発はあった」

   閉館日にミュージアムを訪れた20代の男性は、J-CASTニュースの取材に「近江鉄道は西武グループ傘下ということもあり、西武鉄道で活躍した車両が第2の活躍をしているので、西武の車両が好きな私にとって『思い出に浸れる場所』です」と同館の魅力を語る。

   複数メディアによれば、近江鉄道では鉄道事業の赤字が長年続き、存続に向けて県による支援が検討されている。

「特に近江鉄道が走る地域は車社会ですから乗客が減ってしまうのも無理もないですし、沿線自治体の対応がバラバラというのもあって、立ち行かなくなるのも時間の問題というのを改めて感じました」(先の20代男性)

   J-CASTニュースでは12月10日、同社鉄道部に取材を申し込むと、管理部の担当者が対応。貼り紙について聞くと、「誰が張ったかはわからないですが、恐らく弊社の社員だと思います」と話した。

   ミュージアム閉館をめぐっては、運営に携わっていた鉄道部からの反発があったというが、老朽化にともなう安全面を優先。展示していた車両7両は維持費用の面から解体する見通しだという。

   担当者によれば、来場者は年々減っており、ここ最近は月に100人ほどだった。運営は社会貢献的な意味合いが強く、収入はグッズ販売などわずかだった。

(J-CASTニュ-ス編集部 谷本陵)

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