近江鉄道が運営する「近江鉄道ミュージアム」(滋賀県彦根市)の閉館日に、同社鉄道部名義で「もはや現場の社員がいくら声を上げようと取り合ってくれません」などと書かれた張り紙が掲示されていたことが分かった。
閉館への強い不満を表明した内部告発とみられ、近江鉄道の担当者は「誰が張ったかはわからないですが、おそらく弊社の社員だと思います」と話す。一体、何があったのか。
「座して死を待つよりはずっといいでしょう」
近江鉄道ミュージアムは2007年、彦根城築城400年祭を機に開館。鉄道に関する資料や電気機関車を月に一度無料で展示し、鉄道ファンらから親しまれてきた。
しかし18年12月8日、老朽化を理由に閉館となり、当日は約1600人が詰めかけ別れを惜しんだ。
物議を醸しているのは、閉館当日に最寄り駅の彦根駅に掲示された張り紙だ。近江鉄道の鉄道部名義で、これまでの感謝とともに、
「皆様も薄々感じておられるかと思いますが、保存しております電気機関車の行く末は非常に厳しいものになっております」
と、展示していた電気機関車の今後を危惧。「会社から『言うな』と言われているので詳細は申し上げられない」としつつ、「これから彼ら(編注:電気機関車)が進む道の先は暗黒そのもの」だと訴えている。
文末には鉄道部のメールアドレスも掲載されており、
「もしこのイベントで少しでも感じることがありましたら、その感じたことを教えてください。もはや現場の社員がいくら声を上げようと取り合ってくれません。お客様の声が、暗黒の道に街灯を灯すことになるかもしれません」
その上で、ミュージアムで販売しているグッズの購入を懇願し、
「機関車にはお金を集める力があるということを見せつければ、それもプラスになるかもしれません(中略)座して死を待つよりはずっといいでしょう」
とつづっている。