中国と米国との貿易摩擦が強まり続けた2018年、一部の中国企業の窮状は深刻になった。
12月1日、中国と米国の首脳はアルゼンチンで双方が追加関税を猶予することで合意した。緊張はひとまず緩み、市場の雰囲気は好転。ただこのタイミングで、中国の国家税務総局は減税措置実施を発表した。国内経済を活性化させるためだ。
「税源は十分ある」
厳格な日本の税制とは違って、中国の一部の地方の税システムは相当に柔軟だ。
浙江省杭州市の、ある私募ファンド会社の財務担当者はメディアに対して、今年1年間、まったく税を納めていないと述べた。税務部門に申告するたびに「税源は十分にあるから、また次の四半期に納めなさい」と告げられる。そして次の四半期になると同じことを告げられて、その繰り返しだった、というわけだ。
中国社会では今年、減税を求める声が日増しに高まった。地方の税務当局は時勢を見極め、当局に税の減免措置ができる余裕がある場合は、減免したり、納税を猶予したりしたのだ。
浙江省の事例にとどまらず、国家税務総局は最近、今年上半期の税収の伸びが大きかった10数省に対し、第4四半期には、付加価値税(増値税)、法人所得税、消費税を中心に、徴税ペースを緩めることや、一定割合の税収は来年とるようにすることを求めた。