「ゲートウェイありき」の見方が出る理由
ここまで反発を買ったのはなぜだろうか。ネット上で渦巻く反対論を見ていくと、駅名そのものへの違和感ももちろんだが、その決定のプロセスへの不信もうかがえる。
「2020年に誕生する新しい駅の名前を、私たちは皆さまと一緒に考えたいと思います」
今回の新駅命名にあたり、JR東日本が発表した呼び掛け文の一節だ。駅の名前を、一般から「公募」したのは、JR東日本としては初の試みである。深沢祐二社長も「新しい駅だけでなく、新しい街も同時に作る今までにない事業なので、名前も公募することにした。広く応募してほしい」(当時のNHK報道より)と述べるなど、広く門戸を開く姿勢を示していた。
ところがふたを開けてみれば、上位に入った「高輪」などではなく、選ばれたのはわずか36票、130位にとどまった「高輪ゲートウェイ」だった。
もちろん、募集の時点で「応募数による決定ではなく、ご応募いただいたすべての駅名を参考に」選定を進めるとJR東は明言している。一方、応募を呼び掛けた際の資料をよく読むと、
「田町~品川駅間では『グローバル ゲートウェイ 品川』のコンセプトワードのもと、国際的に魅力のある交流拠点の創出と『エキマチ一体のまちづくり』の検討を進めています」
と、わざわざ進行中の地域再開発のコンセプトである「グローバルゲートウェイ」に言及している。これでは、(真偽はさておき)はなから「ゲートウェイありきだった」との見方が出るのもやむをえまい。