株式から債券、商品先物まで幅広く扱う「総合取引所」の実現に向けた動きが活発化している。政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大学教授)がまとめた改革推進に向けた答申で、2020年度ごろの実現を求めたのだ。
世界の取引所と戦うための、競争力の強化が狙いだが、とはいえ組織の統合には抵抗・軋轢がつきもの。すんなりと進むかは見通せない。
第1次安倍政権以来の「宿題」
総合取引所とは、具体的には、株式を扱う東京証券取引所、金融派生商品を扱う大阪取引所を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)と、原油や金、穀物などの商品先物を手がける東京商品取引所(東商取)を統合するもの。2018年11月19日行われた上記の答申に先立つ10月23日、両者は経営統合に向けた協議に入ると発表した。
総合取引所構想は2007年、第1次安倍晋三政権の「骨太の方針」に盛り込まれて以降、長年の検討課題になっていた。2013年に、当時の東証と大証が統合してJPXが発足、同年、東京工業品取引所に東京穀物商品取引所の商品が移管され、今の東商取が誕生したところで、再編はストップしていた。
なぜ総合取引所が必要なのか。規制改革会議が答申に先立つ11月8日に発表した「総合取引所を実現するための提言」によると、世界の商品デリバティブ市場は2004~2017年に約8倍になったのに、日本は逆に出来高が約5分の1に減ったことに危機感を表明。総合取引所の実現で、規制やインフラが一元化され利便性が高まるなどにより市場参加者が増え、市場の価格形成能力が高まるとしている。こうしたリスクヘッジ機能が安定的に確保されることが、グローバル経済の中で生きていくために不可欠ということだ。