ボクシングの元WBA世界ミドル級王者・村田諒太(32)が2018年12月4日、現役続行することを表明した。村田は10月20日に米ラスベガスで行われた2度目の防衛戦に敗れ、進退を保留していた。今後は現行のミドル級と1階級上のスーパーミドル級の2階級を視野に入れ世界王座返り咲きを目指していく。
村田が再起するにあたって課題のひとつとなるのが、そのボクシングスタイルだろう。ファイタータイプの村田は、ガードを固めてボディーから崩していくスタイルをアマチュア時代から貫いてきた。プロ転向の際には、元キューバのナショナルコーチをトレーナーに付けてスタイルの変更を試みたものの、途中から再び現在のスタイルに定着した。
近代ボクシングではジャブがポイントに直結
近代ボクシングは、ジャブでのポイントが重視される傾向にあり、特に米国のジャッジはその傾向が強く見られる。ヘビー級至上主義の米国では、数発の軽いパンチよりも、一発で大きなダメージを与えるパンチが評価されてきたが、ヘビー級の衰退とともに近年ではジャブを主体とする洗礼されたヨーロッパスタイルが好まれるようになってきた。
ラウンドマストシステムが採用されていることもジャッジがヨーロッパスタイルに傾倒する一因だろう。かつてのプロボクシングでは、ジャッジがイーブンとみなしたラウンドは点差がつかない10-10とされた。だが、近年、各ラウンドごとに優劣をつけるラウンドマストシステムが導入され、採点方式が大きく変化した。
これによりジャッジは、わずかな差でも10-9というように優劣を付けなければならなくなった。一発のパンチが与えたダメージは、ジャッジする側に個人差が生じ、不透明な部分があるが、パンチのヒット数ならばより公正なジャッジが出来る。このようなことからも世界的に手数重視の流れとなっている。
村田はこれまでも手数の少なさを指摘されてきたが、10月20日のロブ・ブラント(米国)戦においてそれは顕著だった。両者のパンチ数を比較すれば一目瞭然だった。