キリンHDの背中はまだまだ遠いが
この数字だけ見れば株が売られそうな印象だが、市場の受け止め方は違った。まず、2018年6月中間連結決算において純損益が25億円の赤字(前年同期は1億円の赤字)、営業損益も30億円の赤字(前年同期は11億円の黒字)だったものが、いずれも黒字に転換しているという事実。レベルの低い話とも言えるが「最悪期を脱した」というフレーズを買いのチャンスとして好む投資家は結構多いのだ。
また、7~9月期に限って見ると営業利益は98億円。これは市場予想平均77億円を3割近く上回っており、少なからぬ驚きを与えるものだった。国内の猛暑効果が大きかったが、「北米飲料の収益悪化が一巡したのではないか」と受け止める声も聞かれた。11月5日の株価は一時、前日終値比10.9%(241円)高の2450円まで上昇、終値は7.5%(166円)高の2375円だった。
もちろん、2018年1~9月期に国内酒類部門で唯一増益を確保したキリンホールディングスの背中は遥かに遠いし、他の上位各社にも業績ではかなわない。しかし、アルコール度数が9%の缶チューハイ「99.99(フォーナイン)」の年間販売目標を当初比4割増の280万ケースに11月末に上方修正するなど、サッポロHDにも見るべきところは出始めており、株価も少しずつ上向く可能性はある。