金子千尋「電撃獲得」可能にした日ハムのブレなさ 速攻オファーの背景を探る

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   日本ハムは2018年12月4日、元オリックスの金子千尋投手(35)と来季の契約合意に達したことを発表した。球団は1年契約の年俸1億円前後を提示したとみられ、これに出来高が付くもよう。金子は2日に自由契約選手として公示されたばかりで、日本ハムはわずか2日間の速攻劇で大物投手の補強に成功した。

   日本ハムが金子と交渉していたことが発覚したのが昨日(12月3日)のこと。交渉の日時や場所については明かされなかったが、昨日午後にはすでに日本ハムは金子と交渉のテーブルに付き、条件を提示していた。この交渉でよほどの手応えを感じたのか、吉村浩GMは「結論が出るのは早いと思う」と語っており、この言葉通り翌日には契約合意に達した。

   通算120勝の右腕を巡っては、複数の球団が獲得を視野に入れ、水面下で調査に乗り出していた。ただ、高額な年俸がネックとなり、他球団の動向を探るように、金子が自由契約として公示されてから公に獲得に名乗りを上げる球団は現れなかった。

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120勝右腕に異例の速攻劇

   水面下で速攻を仕掛けた日本ハムは、初交渉の場で金銭面以外の「セールスポイント」を熱烈アピール。栗山監督の野球観をはじめ、日本ハムのチームカラー、フロントの考え方などを熱く語ったという。この熱意に金子の気持ちが大きく傾いたとみられる。

   今季、17試合に登板し、防御率3・87、4勝7敗で終えた金子だが、先発としての力はまだ十分に残っている。日本ハムは先発投手の補強が課題のひとつで、今季は上沢がチームトップの11勝を挙げ、これにマルティネスの10勝が続くが、自由契約となったマルティネスが残留するかは微妙なところで、金子の入団は補強ポイントにマッチする。

   異例の速攻劇で120勝右腕をくどき落とした日本ハムだが、なぜこのような攻勢をかけることが出来たのか。プロ野球関係者は、その答えは日本ハムの球団の体質にあるという。

「日本ハムはスカウティングに定評がありますが、なんといっても補強に関しては方針にブレがない。現場が、これと決めた選手にはフロントが一丸となって徹底して動く。ドラフトでもそうですが、現場とフロントが一体化しているので、他の球団よりも動きが早いんです」

ドラフトでも見られる日本ハムのブレない方針

   チーム編成における選手補強という点において、日本ハムのドラフトでの成功が際立つ。日本ハムの球団方針として、ドラフトでは他球団の動向を度外視して、その年で最高の選手を1位指名する。一見、無謀ともとれる戦略だが、この方針に一切ブレはなく、ここ数年は注目の選手を1位指名での獲得に成功している。

   2004年秋のドラフトでは、ダルビッシュ有投手(当時・東北高)を一本釣りした実績を持つ。ダルビッシュ投手は、その年の夏の甲子園で活躍し、ドラフトの目玉として注目されていた一方で、素行が問題視され他球団が見送ったとされる。だが、ここでも日本ハムはブレることなく、その年最高の選手としてダルビッシュ投手を1位で指名して獲得に成功した。

   2014年にオリックスと4年総額20億円超の大型契約を結んだ金子は、この4年間、7勝、7勝、12勝、4勝と、その金額に見合う成績は残せなかった。今季は4勝7敗で負けが込んだことから他球団は獲得に向けて出足が鈍ったと見られるが、金子の実績を高く評価した日本ハムの動きは他を圧倒した。

   前出の関係者は今回の日本ハムとの契約内容に関して次のように推測した。

「日本ハムは条件のよい出来高を提示した他に、来年以降のメジャー挑戦を容認したのではないでしょうか。金子はかねてからメジャーへの挑戦を口にしているし、夢はまだ諦めていないと思う。なんらかの形でメジャー挑戦を容認した可能性はありますね」

   今秋のドラフトの吉田輝星投手(金足農高)獲得に続いて、沢村賞投手の獲得で今オフの話題を独占する日本ハム。3年ぶりのV奪回へ着々と選手補強が進んでいる。

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