単行本や新書、小説などで「水道」が盛んに取り上げられている。ベストセラーのトップになっている本もある。国会では、「水道水」を巡る議論が佳境を迎え、水道法の改正案は、2018年12月4日には参院厚生労働委員会で可決、今国会で成立する見込みだ。
水道水の民営化問題は、主に地方都市で問題になっていたことだったので、全国紙での取り上げが遅れていたが、さすがに最近は目立つようになっている。
「民営化の必要性は依然はっきりしない」
この法案は、自治体が持つ水道の運営権を民間企業に売却することに道を開く内容。2日の毎日新聞社説は「水道事業の運営権売却 不安の声に答えていない」という見出しで懸念を表明している。
水道事業は市町村による経営が原則だが、人口減少に伴い需要が減り続け、事業を取り巻く環境は厳しさを増している。民間企業に運営権を売却する手法が浮上している背景には、そうした状況がある、と同紙は認めつつ、「水道は生命や生活に直結するライフライン」「民間に経営を委ねるこの方式には不安な面が多い」。実際、海外では水メジャーと呼ばれる巨大資本による民営化が失敗し、公営に戻すケースが目立つことも紹介して、「結論を急いではならない」と慎重だ。
朝日新聞も4日の記事で「この民営化の必要性は依然はっきりしない」「水道関係者の間で導入を求める声は小さい」と疑問を投げかけている。