伝統の「赤黒ジャージ」――。創部100年を迎えた早大ラグビー部が、2018年12月2日、秩父宮ラグビー場で歓喜の雄たけびを上げた。
観客2万2256人――。満員の秩父宮ラグビー場(東京・青山)で、「ワセダ」が躍動した。伝統の一戦、体格に勝る明大を素早い出足のタックルで止めまくった。また、ターンオーバー(密集で相手のボールを奪い取るプレー)などから、得意の「展開」で一気にゴールへとなだれ込む。創部100周年の今年、「対抗戦グループ王者」にふさわしい試合だった。
そんな中、2019年に日本で開催されるラグビーW杯で代表選出されるかもしれない「原石」を見た。SH(スクラムハーフ)の齋藤直人選手(3年=桐蔭学園)、CTB(センタースリーウオーターバックス)の中野将伍選手(3年=東筑)だ。
宿敵・明大に31-27、薄氷の勝利で...
まず、齋藤選手から紹介していこう。165センチと小柄だが「パス裁き」や「ボールの嗅覚」といったところは、抜きんでている。周りの大きなFW選手を「羊使い」のごとく操り、敵陣へと誘導していくなど、ゲームメークに長けている選手である。
そして中野選手。福岡県立東筑高出身で、186センチ、96キロというFW並みの恵まれた体を持つ。そのサイズを生かした突破力やタックル、ランニングスキルやパスセンスなど、「超大学級プレーヤー」と言ってもいい。
明大も中野選手を警戒し、果敢にタックルを試みた。しかし、体格とスピードを生かして後半14分、19分と連続トライ。同試合のMVPに選ばれるなど、100周年に花を添えた。
「いいスペースに走りこめた」
「『ディフェンスで勝つ』マインドを、みんなが持っていた。アグレッシブに前に詰めて、相手に考える時間を与えないことができた」
と、試合後、一部メディアにそう語っている。