あの「地域振興券」よりも役立たず? プレミアム商品券の評判が悪すぎる理由

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過去の類似施策も効果今一つ

   毎日の社説(10月29日)は「懸念されるのは、低所得者向けに、購入額以上の買い物ができるプレミアム付き商品券の発行を検討していることである。2014年の消費増税後にも行ったが、効果は乏しかった。非効率な財政出動を繰り返すのだろうか」と書くように、効果にも疑問符が付く。

   これまで、多くの同様の商品券などの給付をしてきた。(1)バブル崩壊後の不況が続いていた1999年、子育て世帯や高齢者に2万円分の商品券「地域振興券」、(2)リーマン・ショック翌年の2009年に全世帯対象の「定額給付金」、そして直近では(3)2014年の消費税率が5%から8%へのアップをうけ2015年に「プレミアム商品券」――といった具合だ。その効果はというと、(1)は振興券約6000億円を投じ、消費の押し上げ効果は約2000億円、(2)の給付金は約1.9兆円を配り、効果は約6000億円と、いずれも国の支出の3割程度(効果の推計は内閣府、総務省など)。

   さらに、今回と類似する(3)は、国が地方に配る交付金を元に平均23%の上乗せをした商品券や旅行券が各地で発行され、9511億円分が使われたが、内閣府の推計でも、実質的な消費を喚起した効果は1019億円と、政府が予算計上した2500億円の半分以下にとどまった。この数字にしても、「いずれ買おうと思っていたものを、給付金や商品券を得たために前倒しして買ったようなケースも多く、そういう需要の先取りを除く本当の消費喚起効果はもっと少ない」(エコノミスト)との指摘もある。みずほ総合研究所は2015年、こうした影響を勘案し、プレミアム商品券の押し上げ効果は約640億円にとどまるとの試算を発表している。

   税率引き上げに合わせて、プレミアム商品券の発行は確実だが、今回の効果はどうなるのだろか。

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