公明党に「忖度」した商品券
こうしたアイデアが様々に議論になる中、弱者対策の決定版ともいえる形で浮上したのがプレミアム商品券だ。旗を振ったのは公明党。山口那津男代表が10月末の参院本会議で、「バラマキを避け、効果の高い」弱者対策として発行を求め、安倍首相も「検討する」と応じた。
その後の与党内での議論を通じて、概ね、制度設計が固まってきた。ベースになるのが、公明党が11月16日にまとめた消費税対策の「提言」。金額は当初から言われていた「2万円で2万5000円分」。対象は、住民税非課税世帯(年収約260万円未満)に加え、「2歳以下の子供を持つ世帯」にも広げた。消費税率引き上げの増収分の一部を使って実施する「幼児教育・保育の無償化」では3~5歳児を持つ世帯はすべて対象なのに対し、0~2歳児を持つ世帯は住民税非課税の低所得層に限られることから、その「隙間」を埋めるものとして、0~2歳児を持つ世帯をプレミアム商品券の対象に加えるという理屈だ。
「バラマキを避け」――とはいえ、こうした消費税率引き上げ対策には、バラマキ批判が当然起きるところ。日経は11月23日に「『消費増税対策』の名のバラマキは避けよ」と題した社説を掲載し、「(ポイント還元は)クレジットカードを持たない高齢者や低所得者に不公平との声が出て、プレミアム付き商品券を発行する案も浮上している。これではキャッシュレス化を推進する効果は薄れてしまう。消費増税をしても、その対策と称してどんどん財政支出を増やせば、増税の意味はなくなる。消費税の増収分は、増加を続ける社会保障費と財政健全化に充てるべきだ。消費増税対策に名を借りたバラマキになってはならない」とけん制しているが、大手紙の多くが同様の論調だ。