「親子上場」と「官製値下げ」の圧力
しかし、親子上場に関しては、子会社の経営や資本政策が親会社の有利になるようコントロールされ、子会社の個人株主らの利益が損なわれるという問題点が指摘される。東証は親子上場について禁止はしていないものの、「望ましくない」との見解を表明している。今回の上場審査では、ソフトバンクの経営の独立性が保たれていると判断されて上場が承認されたが、上場後も大株主として君臨するSBGとソフトバンクの個人株主らの利益が相反しないか、懸念は残る。
ソフトバンクの成長性にも黄信号がともる。安倍晋三首相や菅義偉官房長官が「携帯電話料金が高すぎる」と繰り返し批判し、携帯大手各社へ値下げを迫っているからだ。一定の値下げは避けられない情勢で、ソフトバンクを含め各社とも対応する方針を示している。孫氏は「値下げしても増益は確保する」と強気の姿勢を示すが、第5世代移動通信システム(5G)への設備投資もかさむ中、孫氏の描く成長戦略が実現するのかは見通せない。 過去最大級のIPOは成功するのか。そしてSBGの次の一手は――。