サッカー元スペイン代表FWダビド・ビジャ(36)がJ1・ヴィッセル神戸に加入するとツイッターで明かした。チーム側の正式発表を待つ段階だが、実現すればMFアンドレス・イニエスタ(34)、FWルーカス・ポドルスキ(33)に続く、3人目の「超大物」となる。
ただ、ヴィッセルファン全員が素直に喜んでいるわけではなさそうだ。振り返れば、世界レベルの選手がそろえながら惨敗したチームは少なくない。
ポドルスキ加入で9位、イニエスタ入っても10位
ビジャは、スペイン代表として優勝した2010年ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会では5ゴールをあげ得点王。08年の欧州選手権(ユーロ)でも優勝と4ゴールでの得点王を獲得しており、スペイン黄金時代の中心選手となった。クラブではスペインの名門バルセロナで、かつてイニエスタと「共演」。14年からは米国MLSのニューヨーク・シティでプレーし、今季は23試合14ゴールと得点力は健在である。
ヴィッセル神戸は今季、世界的名手のイニエスタを獲得したことで、国内外で話題をさらった。17年に加入のポドルスキと合わせて、ビジャまで加われば前線の戦力はJ1でズバ抜ける。
だが来季のJ1優勝を予想する人ばかりではなさそうだ。ツイッター上では、
「それでも優勝出来ないのが神戸」
「ビジャ取っても神戸が優勝できる気がしないのは俺だけか? 生え抜きが根を生やさないチームはどうかと...」
「イニエスタとのホットラインはすごく観たいけど、それでも神戸が優勝出来るとは思えない不思議さ」
などと冷めた意見も数多い。
というのも、神戸のリーグ順位はポドルスキ加入の17年が9位、イニエスタが加わった18年は10位と、優勝争いに絡めていない。
海外スター選手の加入は話題性こそあれ、それだけではチーム強化にとって限定的だ。記憶に新しいのは14~15年のセレッソ大阪。10年南アW杯得点王でMVPの元ウルグアイ代表FWディエゴ・フォルランが加入したうえ、元ドイツ代表のFWカカウも加わり、注目を集めた。だが14年はJ1でまさかの17位。優勝どころかJ2降格となってしまった。
失点数はリーグワースト、「守備がザルなんだよ」
潤沢な資金力による助っ人外国人の獲得が目立つのは中国のクラブだが、必ずしも強化に直結しているわけではない。上海申花は今季、元コロンビア代表のMFフレディ・グアリン、同MFジョバンニ・モレノ、パラグアイ代表FWロメロ、元ナイジェリア代表FWオバフェミ・マルティンスら強力攻撃陣を擁したが、終わってみれば7位。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権にも届かなかった。
共通するのは、攻撃陣にビッグネームがそろうのに比べ、守備の選手の獲得があまり図られていない点といえる。神戸もDF陣に日本代表クラスはゼロ。単純に失点数でみれば今季リーグワースト6位の52失点。優勝した川崎フロンターレの27失点とは約2倍の開きがある。ツイッターでは、「ヴィッセル神戸はDFを強化しろよ 守備がザルなんだよ」「神戸はビジャも来るけど守備の方が大事なんじゃねえのか」といった声もあがっている。
欧州主要リーグでも、スポンサーの資金力を背景に「多国籍軍」となっているクラブはある。英プレミアリーグのマンチェスター・シティや、仏リーグアンのパリ・サンジェルマンだ。ただし、いずれも今季は国内リーグで暫定1位。好成績なのは前線のタレントだけでなく、当然のようにボランチ、DFと世界的選手をバランスよく整えているからだと考えられる。
神戸は今回、ビジャに限らずロシアW杯代表のボランチ山口蛍の獲得にも動いていると報じられた。攻撃陣にワールドクラスをそろえ、今後はいよいよ守備陣の強化にも本格的に取り組んでくる可能性はある。