外国人労働者の受け入れを拡大するための出入国管理法(入管法)改正案をめぐる野党の対応が割れている。
国民民主党は2018年11月29日に参院に「対案」を提出し、「他党にも呼び掛けたい」(玉木雄一郎代表)とする一方で、立憲民主党の枝野幸男代表は、対案を出す予定については「ありません」と断言。国民民主党の対案についても、枝野氏が懸念として指摘されている受け入れ人数などが「具体的なものではない」と切り捨てた。
施行を半年延期し、受け入れ上限など8点を検討
国民民主の対案は、入管法改正案の施行を半年間延期し、その間に(1)地方への人材確保への配慮(2)産業別・地域別の受け入れ上限の設置(3)適切な待遇を確保するための配慮、など8点について集中的に検討する、という内容。
玉木氏は11月28日の会見で、
「(参院で)仕切り直しで、(委員会審議が始まる)早くから出して議論を深めたい」
と意気込むが、他党との連携については
「他党にも呼びかけはしていきたいが、共同提出という形になるかどうかについては、相手もある話。こういった交渉事についても、一義的には参院に委ねたい」
とも話し、先行き不透明だ。
実際、枝野氏が29日の会見で見せた反応は、きわめて冷淡なものだった。国民民主の対案について聞かれると、
「他党が出された提案に対して、少なくとも、これから審議するわけで、まだコメントする段階ではない」
と前置きしながら、「今、伝えられているところからすれば...」と続けた。
外国人技能実習制度との関係整理が前提
枝野氏は、どのような業種の外国人をどういった基準で、何人受け入れるかが政府案では明らかでないことが「最大の懸念」だとした上で、こういった点が国民民主の案でも「具体的なものではないと承知している」と話した。
立憲民主党として対案を出す予定は「ありません」とも。外国人労働者受け入れ拡大には、現在の外国人技能実習制度との関係を整理することが前提で、同制度の実態や、その弊害をどう取り除くかが明確にならない限り
「その先の議論には進みようがない」
とした。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)