大相撲の元貴乃花親方、花田光司さん(46)が、「相撲は日本語じゃなく、ヘブライ語」だとテレビ出演で語り、ネット上で波紋が広がっている。
そんな根拠がどこにあるのかと疑問の声が多いが、本当のところはどうなのだろうか。
「相撲の思想的なところも、私なりに研究したい」
花田さんは、日本テレビ系の情報番組「スッキリ」に2018年11月27日、ゲストとして生出演した。花田さんは、景子さん(54)との離婚の経緯から始まって、今後の活動について、こう説明した。
「古い時代から相撲って出てきますよね。そういう思想的なところも、これから私なりに研究していきたいなと思っています」
そのうえで、花田さんは、こう主張した。
「相撲というのは当て字で、もともと日本語じゃないんですね。そういうすごく古い世界でつながっているっていうところが、日本の国技大相撲です。そんなところも、子供たちに分かる範囲で教えていきたい」
司会の加藤浩次さん(49)が「当て字」の意味を聞くと、花田さんは、こう答えた。
「『シュモー』って言うんですね。ヘブライ語ですね」
「ヘブライ語?」と加藤さんが戸惑いを示すと、「だから、ものすごくつながりが深いですね。世界を股にかけての言葉ですから。世界の思想に役立てればいいなと思いますね」と付け加えた。
近い発音の言葉はあったが...
花田さんの発言がスポーツ紙などで伝えられると、ネット掲示板やツイッターなどでは、「相撲はヘブライ語」だという主張に、「初めて聞く珍説」「語源は諸説あると思うけど」といった疑問が相次いだ。
確かに、日本人はユダヤ人と共通の先祖を持つとする「日ユ同祖論」を唱える一部主張では、相撲にも発音が類似しているヘブライ語があると、ネット上のまとめサイトなどで紹介されている。
とはいえ、根拠あるソースに乏しく、広辞苑で「相撲」を引くと、「動詞『すま(争)う』から」と説明がある。日本相撲協会のホームページでは、相撲の起源として、古事記や日本書紀の中にある力くらべの神話などを挙げている。
日本ヘブライ文化協会の阿部望副理事長は11月29日、J-CASTニュースの取材に対し、「シュモー」の発音に近い言葉としてヘブライ語の「shmo」「shemo」があると指摘した。
神様を示す「彼の名前」という意味だそうだ。日本相撲協会のホームページによると、相撲は古来、神様に捧げる儀式として行われたといい、そのことから、相撲とヘブライ語に関連があるとされた可能性があるが、花田さんが言う「相撲はヘブライ語」だとするソースの存在は、確認できなかった。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)