阪神の来季の選手補強に暗雲が立ち込めてきた。オリックスからFA権を行使した西勇輝投手が2018年11月28日、「阪神入団決意」と報じた一部スポーツ紙の報道を自身のブログで否定。阪神への入団自体を否定したわけではないが、ブログでは揺れ動く胸中を吐露し、所属先に関しては流動的な状況にある。
先週11月21日にも補強に関して阪神ファンをぬか喜びさせる報道があった。米メディア「ジ・アスレチック」の名物コラムニストのケン・ローゼンタール氏が、ツイッターで「パドレスは三塁手、クリスチャン・ビヤヌエバを日本の阪神に売却する」と速報した。
ベストナイン、投打の記録表彰がないのは12球団で阪神だけ
海の向こうからの速報に阪神ファンは沸き上がったが、その1時間後にローゼンタール氏がこの速報を訂正。「パドレスは三塁手クリスチャン・ビヤヌエバの権利を読売ジャイアンツに売却。阪神タイガースではありません」と、まさかの巨人入りを伝えた。
補強に関する2週連続の「怪ニュース」にネットでは阪神ファンから失望とニュースの発信元への批判が殺到。西投手に関しては、まだ所属先が決まっていないが、ビヤヌエバ選手は宿敵・巨人に入団したとあって、阪神ファンの失望と怒りは相当なものだった。
現時点で来季の補強が決まっているのは、ドラフト選手をのぞけば新外国人のピアース・ジョンソン投手(ジャイアンツ)だけ。ジョンソン投手は150キロの速球を武器とし、奪三振率が高く、球団はリリーフとして期待している。正式な契約はまだ結んでいないが、基本合意に達したとすでに発表している。
FAでの補強に関しては野手の獲得を見送り、西投手一本に絞っている。今秋のドラフトでは、将来のセンターライン固定を見据えて1位で近本光司外野手(大阪ガス)を獲得し、遊撃手の小幡竜平内野手(延岡学園高)を2位で獲得。そして3位で遊撃手の木浪聖也内野手(Honda)を獲得した。
思わず「寂しいね、それは」
ただ、ドラフトで獲得した選手は即戦力ではなく、あくまでも将来のレギュラー候補で、肝心の野手の補強に関してはまだ手付かずの状態にある。
ジョンソン投手に続いて西投手が加入すれば、先発、リリーフと投手陣は厚みを増し、安定感が出ることは間違いないだろう。その一方で今季、貧打に泣いた野手陣の補強の遅れにファンから不安の声が上がっている。
2018年シーズンのベストナイン、投打の記録表彰など1軍表彰の対象選手がいないのは、12球団で阪神だけで、改めて補強の必要性が問われる結果となった。27日に都内ホテルで行われた「NPB AWARDS 2018 supported by リポビタンD」のファーム表彰式に出席した矢野燿大監督は思わず「寂しいね、それは」とこぼした。
西投手とビヤヌエバ選手に関して、場外でのドタバタ劇に巻き込まれた感のある阪神だが、西投手獲得へ向けての方針にブレはない。まずは西投手の獲得が最優先事項となるが、これと同時並行で野手陣の補強が急務となる。