「危機一髪」逃れたのは実績なのか
読売(9日)も、規制委が慎重な審査をしたと評価したうえで、「(対策工事を)2021年春までに終えて、再稼働を目指す。着実に進めてもらいたい」と、再稼動への期待を書く。
2紙と比べ、原発容認でも日経(9日)はややニュアンスが異なる。「日本原電は......期限ぎりぎりで認可を得た。規制委の基準や延長審査は安全を守る最低限の条件といえる。日本原電は気を緩めずにさらに対策を積み上げ、基準を上回る安全性を確保すべきだ」と、安全への一層の取り組みを求めている。
大きな問題である避難計画と地元の同意については、脱原発3紙は慎重で、「自治体の計画策定は難航しており、重大事故発生時に迅速な避難ができるか大いに疑問だ」(毎日)などとして、関係自治体に「安全を最優先する姿勢を貫いてもらいたい」(朝日)と注文する。
これらに対し、産経は「東海第2も東日本大震災の大津波に襲われたが、自主的な事前の津波対策で大事故を回避している。信頼に足る実績として評価されるべきだ」と、大震災時の「危機一髪」を他紙になく評価するという独特の論法を示している。
読売は「丁寧に情報を発信し、粘り強く地元の理解を得ていかねばならない」と、安倍晋三首相が好む「丁寧な説明」を求め、特に雛計画について「避難時の混乱をどう最小限に抑えるのか。調整は難航している。政府が全面支援して、現実的な計画を目指す必要がある」と、政府に発破をかけ、また、地元の事前了解について、「この了解権は『拒否権』と異なる」と指摘し、再稼動のハードルを下げるかのような書きぶりだ。
日経は「大事故が起きた際、高齢者や病人らは安全に避難できるのか。人口が密集する市街地で混乱を防ぐには何が必要か。住民に安全に避難してもらう計画づくりは道半ばだ」と、この点でも産経、読売とは一線を画し、慎重な対応を求めている。