テレビで朝から晩まで「こんにちは」が連呼される異常事態が起きている。
2025年の大阪万博開催が決まり、以前の大阪万博(1970年)のテーマソング「世界の国からこんにちは」が、テレビ番組のBGMとして多用されているのだ。
三波さん以外のバージョンもある
「世界の国からこんにちは」は1967年に発表された。毎日新聞が万博テーマソングの歌詞を公募して、一般から島田陽子さんの作品が選ばれた。そこに中村八大さんがメロディーをつけたのが、この楽曲だ。一番有名なのは、三波春夫さんが歌うバージョンだが、レコード各社の「競作」となっていたため、坂本九さん、吉永小百合さん、山本リンダさんらによるものもある。
そんな名曲が、50年の時を超え、ふたたび脚光を浴びている。万博開催が決定した2018年11月24日早朝から、初の平日となる26日昼まで、放送時間が30分以上のニュース・情報番組を見直してみると、ヘビーローテーションと言っていい状況になっていた。
やはり一番多かったのは、決定直後の土曜日。「おはよう日本」「ニュース7」(NHK総合)、「ズームイン!!サタデー」(日本テレビ系)、「スーパーJチャンネル」「サタデーステーション」(テレビ朝日系)、「サタデープラス」「新・情報7DAYS ニュースキャスター」(TBS系)、「めざましどようび」(フジテレビ系)で流された。
日曜日は、「シューイチ」「真相報道 バンキシャ!」(日テレ系)、「サンデーLIVE!!」(テレ朝系)、「サンデーモーニング」(TBS系)、「報道プライムサンデー」「プライムニュース イブニング」「Mr.サンデー」(フジ系)で使われていた。
日を追うごとに、内容はストレートニュースから分析ものに変化しながらも、朝から晩まで「こんにちは」は止まらない。月曜もお昼までに、「ZIP!」「スッキリ」(日テレ系)、「あさチャン!」「ビビット」「ひるおび!」(TBS系)、「めざましテレビ」「とくダネ!」「バイキング」(フジ系)で耳にした。
場面としては、1970年万博の資料映像が流れるときに、あわせて「♪こんにちは~」となることが多かった。J-CASTニュース記者の耳で聴き比べたところ、どれも三波春夫さんのバージョンと思われる。ただしフジの「プライムニュース」と「めざましテレビ」で流されたのは、声質こそ同じように聞こえるが、節回しが若干軽快な歌い方だった。
「こんにちは」に込められた意味は
この曲の特徴は、35回も繰り返される「こんにちは」だ。島田さんは2001年3月14日付の毎日新聞(大阪版)で、作詞した時のことをこう振り返っている。
「誰でも仲良くなれる言葉はないか、老若男女問わずに日本人、外国人に通じる言葉......。やっとひらめいた言葉が『こんにちは』だったんです。それも締め切りの前日でした。使い古されたあいさつ語ですが、この言葉こそ、天候や時間に左右されることのない言葉だと確信しましたから、その夜は徹夜して2編つくりました」
それからのことは言うまでもない。1970年万博の機運を盛り立てるだけでなく、三波さんも自らの代表曲として、「東京五輪音頭」とともに2001年の死去まで歌い続けてきた。そして今回、ふたたび大阪万博が行われることになり、ツイッターではこんな反応が出ている。
「一日中頭の中でリピートしてる笑」
「三波春夫をこんなに聞く日が来るとは」
「息子がすっかり気にいって熱唱してるw」