成績不振による決議実施、そもそも異例
横審は過去、横綱朝汐(後の朝潮)を「激励」したことがある。3場所連続で休場していた朝汐に対して、59年九州場所後に翌年の初場所に出場するよう激励することを決定。後日、時津風理事長(元横綱・双葉山)を通じて奮起を促すことになった。また、99年秋場所で7勝8敗と負け越した3代目横綱若乃花を横審が呼び出して休場を勧告。横綱が初めて委員会に呼び出される異例の形での勧告だった。
横審が横綱に自主的な引退を勧告したケースもあった。7場所連続で休場した横綱貴乃花に対して、当時の委員長だった渡辺恒雄氏は翌場所の出場を厳命した上で、「責任をまっとうする自信がなければ自ら決してくれということ」と異例の勧告を行った。
事実上の引退勧告でもあった貴乃花の場合においても、横審の決議が行われることはなかった。過去の歴史において横審は横綱の自主性を重んじ、その言動を極力、尊重してきた。10年の初場所中に暴行騒動を起こした横綱朝青龍のように「横綱としてあるまじき行為」による決議、引退勧告のケースはあるが、今回のように成績不振による決議実施は異例のことである。