「具体的成果はほとんどない」(野党議員)
他にも目配りの必要な要素はある。米中、日中関係の連立方程式が一つ。安倍首相は10月、7年ぶりに中国を公式訪問して習近平国家主席と会談し、関係改善に踏み出した。米中関係は、ペンス副大統領が10月4日の講演で「中国は陸・海・空で米国の優位を侵食しようとしている」と強硬姿勢に転換し、「新冷戦」が現実味を帯びつつある。その中で、安倍首相が日中関係改善をどう進めていくか、難しいかじ取りが求められる。
外交テーマに急浮上した北方領土をめぐる日露交渉でも、仮に2島なりが日本に引き渡された場合に軍事基地をどうするかなど、安保条約との関係で日米間の調整が不可欠だが、どう進めるか、予断を許さない。
「これだけ難しい局面で、経験豊富、世界に顔が利く安倍首相に頑張ってもらう以外にない」(与党幹部)との声の一方、「世界中飛び回るだけで、具体的成果はほとんどない」(野党議員)との批判も聞こえる。まさに、「外交の安倍」の真価が問われる局面に差し掛かっている。