読み切れない米国側の態度
中間選挙は、上院が引き続き与党・共和党が多数派を維持する一方、下院は民主党が過半数を奪還するという大方の予想通りの結果になった。上下両院の「ねじれ」で、経済政策はトランプ政権の思い通りの法案が、民主党の抵抗で通らず、これまでのように、大胆な減税や財政出動はしにくくなる可能性が高い。
そうなれば「トランプ大統領は、議会を通さなくても実行できる通商政策に力点を置き、支持者にアピールすることで2年後の大統領再選を目指すだろうから、貿易問題はより先鋭化する」(エコノミスト)などと予測する声が強い。
実際の日米交渉への影響はどうなるだろう。年末に米国を除く11カ国による環太平洋経済連携協定(TPP11)が発効する。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)も今国会での承認を経て2019年2月に発効する予定だ。
例えば2つの協定により、オーストラリアや欧州から日本への牛肉・豚肉の関税が下がる。米農業界では、日本市場を奪われかねないとの懸念が強まっているとされ、日米交渉を早期にまとめようという圧力は強まる可能性がある。「だから、米国がより強硬になるか、日本の主張にも一定の配慮をして早期妥結を優先するかは読み切れない」(通商関係者)ところだ。