2018年11月16日に放送された「タモリ倶楽部」(テレビ朝日系)では、人気コーナー「空耳アワー」が存続の危機にあると紹介された。
「空耳アワー」では洋楽の歌詞が、別の日本語に聴こえる例を紹介するコーナー。番組では、コーナー開始直後から25年以上にわたり音源チェックのCDを借り続けてきたレンタルCD店「ジャニス」(東京都千代田区)の閉店が関係していると紹介された。
頭を抱える「空耳アワー」番組スタッフ
ジャニスは1981年創業で37年の歴史をもつ。約8万枚の豊富な品揃えで、「空耳アワー」の番組制作には欠かせない店のようだが、18年8月30日に公式サイトで「諸般の事情」により、11月をもって閉店すると発表していた。
番組スタッフは放送中で、
「(空耳アワーは)アフリカのポップスや東欧のロックまで幅広いネタがある。ジャニスさんだと大部分がカバーできた」
「閉店したらどうやってそろえたらいいのか...」
と話し、頭を抱えていた。
そんな番組内容を受けて、11月18日、「空耳アワー研究所」というツイッターアカウントが以下のツイートを投稿した。
「ジャニスさんを利用せず『空耳アワー辞典』を制作するの大変でした。結局3228曲中3227曲聴くのにCD買ったり、落札したり、輸入したり...。残り1曲ジャニスに行けばあるのかな?」
空耳アワー研究所は1996年12月以降、ジャニスを一切利用せず独自にデータ同人誌「空耳アワー辞典」を制作してきたという。ジャニスがないとどのくらい大変なのか――。J-CASTニュースは18年11月20日、空耳アワー研究所を取材した。
「ジャニスさんのようなレンタル屋さんが近くにあれば」
取材に応じてくれた所長によれば、「空耳アワー辞典」は「大好きな空耳アワーをデータ化し全てを網羅したい欲」という理由で制作、コミケで頒布しているという。
「空耳アワー辞典」は、空耳アワーで採用された作品を各アーティスト名の五十音順に並べ、「収録アルバム名」「アルバムのレコード番号」「曲名」「空耳」「番組での評価」「CDのTIME(空耳が聞こえる場所)」等の情報を辞典形式に編集したもの。「CDのTIME」を調べるためには採用された曲をすべて聴く必要がある。しかし、空耳アワー研究所は地方にあるため、ジャニスを利用したことがない。
「私(所長)と研究員の1人が所有している洋楽CDを合わせて1万枚強あるのですが、ジャンルが偏っている為か網羅できません。空耳が収録されているCDを持っていない場合は、購入したり、配信サイトでダウンロードしたり、どちらにもない場合はオークションで落札したりし調達していました。ジャニスさんのようなオールジャンルのCDを大量に扱うレンタル屋さんが近くにあれば良かったのですが、地方ではそれが利用できませんでした」
所長はジャニスの存在、および閉店については16日の放送で知ったといい、
「非常に残念で寂しい気持ちです。近年のIT技術の進歩によりSpotify、Amazon Music Unlimited、Apple Music、Google Play Music等の配信サービスが登場したことで、その役目を終えたのかもしれませんね。しかし世の中には配信されていないレアなCD音源もたくさん存在するので、ジャニスさんに置き換わるものは存在しないと思っています。なので閉店するということはかなり残念です。何はともあれ今まで長い間『空耳アワー』を縁の下で支えていただきありがとうございましたと言いたいです」
と、語った。
「空耳アワー辞典」の制作費用は?
「空耳アワー辞典」は4~6年に1度、新規に採用された作品を増補・改訂している。所長によれば、増補・改訂は「やることがかなり多い」といい、作業には3~4か月かかる。1992年から2018年までを収録した最新刊で、第8版目になるという。
「空耳アワー辞典」の制作費用に関しては、「CDを大量に購入したりしていますが、どこからが趣味で購入したものでどこからが空耳を聴くために購入したものか、区別が付かずよくわかりません...」とのことだった。
11月18日のツイッターに「残り1曲ジャニスに行けばあるのかな?」と投稿されているように、現在は空耳アワー採用作品の1曲が見つからず、捜索中だという。所長は「誰かUltramagnetic MC'sに詳しい方教えてください(笑)」と話した。