ヤフーとソフトバンクによるスマホ決済サービス「PayPay(ペイペイ)」が、大盤振る舞いともいえるキャンペーンを発表した。
上限金額の範囲であれば「20%還元」となり、時には「全額」が戻るとあって、ネット上には衝撃が走っている。近頃、競争が激化しつつあるスマホ決済業界だが、これで勝敗が決するのだろうか――。
ソフトバンクユーザーは「10回に1回全額還元」
PayPayは2018年11月22日、12月4日から「100億円あげちゃうキャンペーン」(19年3月31日まで)を行うと発表した。メインは、PayPayで支払うと、月額5万円を上限に支払額の20%が「PayPayボーナス」(残高)に還元されるキャンペーンだ。
もうひとつは、40回に1回の確率で、支払額の全額(1度の決済で最大10万円)が「PayPayボーナス」に還元されるもの。こちらは、ソフトバンク、ワイモバイルのスマホ利用者であれば、確率が「10回に1回」にまで高まるという。これらに先駆けて11月22日から、5000円以上のチャージで、1000円相当のPayPayボーナスを上乗せするキャンペーン(1人1回のみ)も開催されている。
10月にスタートしたばかりの後発ゆえ、これまでPayPayは加盟店の少なさがデメリットだった。しかし今回、ファミリーマートでも12月4日から使えるようになり、ミニストップ、ポプラ、松屋、ビックカメラ、ヤマダ電機といったチェーン店にも近日対応予定だと発表されている。
ライバル「LINE Pay」危ぶむ声も
ライバルと比較すると、今回の還元率が「別格」なことがよくわかる。たとえば、LINEの「LINE Pay」では、QRコードやバーコードでの決済を対象に、19年7月末までポイント上乗せキャンペーンを行っている。しかし、その還元率は3.5~5%(会員ランクにより異なる)。また加盟店のうち、一部チェーンに絞ったキャンペーンでも、10%還元にとどまっている。
「100億円あげちゃうキャンペーン」を受けて、ツイッターでは、
「とんでもねえのが来ましたよ」
「マジでLINE Pay駆逐されるかも」
「PayPayエグいっすね...SBユーザー10%の確率でタダになるってすごい」
などと驚く声が絶えない。また、「Yahoo!BBの再来だ...!」との反応も。インターネットの常時接続の黎明期に、ヤフーがADSLの接続料を安価に設定した上に、モデムを大量配布して、トップに登りつめたことを思い出して、シェアを根こそぎ持っていってしまうのでは、といった指摘だ。
還元率だけじゃ計れない?覇権の行方
確かに、国内のスマホ決済には、まだ「ナンバーワン」と言える存在が見当たらない。各社サービスが乱立して、覇権を争う過渡期にある。当然ながらそれぞれに、還元率だけでは語れない「魅力」を持っている。
加盟店の面で特徴的なのが「楽天ペイ」だ。チェーン店のラインアップは、LINE Payと大きな差はないが、こちらは個人経営の店舗でも多数使える。クーポンがウリなのが、水原希子さんのCMで知られる「Origami(オリガミ)Pay」。これまで10%引きのクーポンや、ローソンのコーヒー無料券などが配布されてきた。
QRやバーコード決済ではないものの、同じくスマホ決済サービスの「Kyash(キャッシュ)」も、消費者の側からすれば選択肢のひとつだ。ここのVisaプリペイドカードは、ほぼクレジットカード同様の使い勝手ながら、2%のキャッシュバックを得られる(一部対象外)。
これらに加えて、アマゾンジャパンの「Amazon Pay」や、NTTドコモの「d払い」など、ネットと実店舗の両方で使える決済サービスが増加している。国内・外資がシェア争いをするなか、うまく「ペイ」できて、最後に笑うのはどこか。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)