中村紀洋氏、年俸2億プラス出来高5000万円から400万円に
プロ野球選手の税金の支払いにまつわる「事件」といえば、近鉄、オリックス、ドジャースなどで活躍した中村紀洋氏のエピソードが有名である。
当時、オリックスに所属していた中村氏は、2006年の年俸に関して、球団と2億円プラス出来高払い5000万円(金額は推定)の単年契約を結んだ。このシーズンは度重なる故障により、年俸に見合うだけの活躍が出来ず、オフの交渉で球団から提示された07年の年俸は、60%減の8000万円(金額は推定)だった。
交渉は年を越し、回数は実に6度を数えたが、2007年1月12日までに合意に達せず、球団は中村氏との契約更新を断念。これにより中村氏はオリックスを退団することになり、他球団とのトレードの話がなかったことから5日後に自由契約選手となった。
自由契約選手となった中村氏の獲得へ動く球団は現れなかったが、同年2月に中日からテスト生としてのキャンプ参加を呼びかけられ、そこで入団テストを受けた。
テストの内容が評価され、育成選手枠で中日に入団。この時の背番号は「205」で、年俸は400万円(金額は推定)だった。オープン戦での活躍で開幕直前に支配下選手契約を結んだが、年俸はわずかにアップしただけの600万円(金額は推定)だった。
中日に入団が決まった時に発覚したのが、中村氏の税金事件である。スポーツ紙のインタビューに中村氏は、2006年の2億円を超える所得に対する所得税を支払うことに関して、貯蓄がないため支払いに大きな不安があると吐露。2億円以上もの額を稼ぐプロ野球選手の衝撃告白は当時、大きな話題を呼んだ。
中村氏以外にもプロ野球選手の税金にまつわる問題は多い。これらの対策の一環として、日本野球機構は近年、新人選手に向けての研修会を開催している。今年1月には2018年の新人選手、審判員ら105人を集めて「2018年NPB新人選手研修会」が都内で開催され、「アンチドーピング活動・脳振とうについて」、「暴力団の実態と手口」など6講義を行った。税金対策としては「税の意義と役割」と題した講義が行われ、新人選手に税金の仕組み、社会に対する役割などの理解を求めた。