日産自動車は2018年11月19日、カルロス・ゴーン氏の会長職と取締役の解職を取締役会に提案すると発表した。
ゴーン氏とグレッグ・ケリー代表取締役をめぐる内部通報があり、内部調査を数か月間にわたって行った結果、実際の報酬額より少ない金額を有価証券報告書に記載していたほか、同社の資金を「私的に支出するなどの複数の重大な不正行為」が認められた、としている。
ゴーン氏は日産や三菱自動車など複数に自動車メーカーで役員を務めており、日産からの役員報酬だけでも3年連続で「10億円超え」していた。実際にはさらに多額の報酬を受け取っていたことになるが、過少申告をめぐる動機の解明が待たれそうだ。
ケリー氏は弁護士出身、12年から代表取締役
ゴーン氏は毎年、自らの報酬額を株主総会で明らかにしており、14年3月期は9億9500万円、15年3月期は10億3500万円で初めて「10億円超え」。17年4月に社長兼最高経営責任者(CEO)を退いて会長に就任したことを背景に、18年3月期は7億3000万円に減額された。日産の発表では、ゴーン氏の報酬額について
「長年にわたり、実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していたことが判明」
したと説明。さらに、ゴーン氏の私的支出をめぐる問題では、ケリー氏が「深く関与していることも判明」したとしており、代表取締役の職を解くことを提案する、としている。
ケリー氏は弁護士を経て1988年に北米日産会社に入社。2008年に日産自動車の執行役員に就任し、法務室などを担当。12年6月に代表取締役の一人に就任していた。
日産は
「当社は、これまで検察当局に情報を提供するとともに、当局の捜査に全面的に協力してまいりましたし、引き続き今後も協力してまいる所存です」
と説明。東京地検特捜部は金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の容疑で捜査を進めている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)