西武からFA権を行使した浅村栄斗内野手が、オリックスに断りの連絡を入れていたことが11月19日、分かった。オリックスの長村裕之球団本部長がこの日、「今回は他の球団の方から選ばせていただきたいという断りがありました」と明かしたもので、オリックスは交渉のテーブルに付くことさえ許されずに脱落した。
浅村は16日にソフトバンク、18日に楽天と第1回目の交渉を行った。18日の楽天との交渉後には、石井一久GMとともに会見が予定されていたが、他球団との交渉が全て終わっていないとの理由で浅村は無言で会場を後にした。
「初めて聞いたわ」「せめて会って話をしてから...」
すでにオリックスが浅村獲得を表明しており、昨日の時点で残された球団はオリックスと見られていた。だが、この日、浅村の代理人がオリックスに断りの連絡を入れたことで、西武を除く他球団の第1回目の交渉はひとまず終了したことになる。
浅村の真意は不明だが、浅村はFA権行使にあたり、「他球団の評価を率直に聞きたいと思った」と話していた。4年16億円、背番号「1」または「7」を用意していたオリックスの長村裕之球団本部長は「会って話をしたかったというのが本音」と肩を落とした。
FA権を行使し、獲得に名乗りを上げた球団と交渉を行わずに断りを入れたのは異例のことで、ネットではオリックスファンから批判と嘆きの声が上がっている。
「すげえなFAで門前払いって初めて聞いたわ」
「浅村も言っている事とやっている事が全く違う。」
「オリックスだけ門前払い...」
「せめて会って話をしてからじゃないとさすがにオリックスに失礼では...。」
「オリファン、球団幹部はショックやね。」
あの選手の退団が影響したか
プロ野球の球団関係者は、「浅村は中島(宏之)と非常に仲が良いので、中島がオリックスを離れたことで対象外となったのでしょう。中島にも球団の事情を色々と聞いていることでしょうし。オリックスもある程度は覚悟していたと思いますよ」と門前払いの経緯について言及した。
ソフトバンクは近年、浅村の本職である二塁のポジションが固定出来ていない。今季途中から牧原が台頭してきたが、その他の若手で内野のレギュラーに定着出来そうな選手はおらず、松田、内川のベテラン勢に頼らざる得ない状況である。
補強ポイントに合致する浅村の争奪戦は、ソフトバンクにとって絶対に負けられない戦いとなる。楽天、オリックス、西武を大きくしのぐ4年28億円の大型契約を用意し、第1回交渉でも他球団を出し抜き、16日に最速で交渉。大型契約に加えて球団の誠意を見せることで、浅村獲得を猛アピールした。
一方の楽天は、4年20億円を用意し、西武時代の先輩である石井GMが直接出馬。2時間を超えた会談は有意義なものだったという石井GMだったが、浅村獲得への感触を問われると、「手で触れるものではないので分からない」と微妙な言い回しだった。
西武残留の可能性はあるか?
前出の関係者は「オリックスとの交渉を断ったことで、移籍の可能性は高いと見ていいでしょう。西武に残留するのならば、とりあえず獲得に名乗りを上げた球団全ての話を聞いて、それを材料に西武と交渉に臨むはず。それをしなかったということは、すでに浅村の中で意中の球団が決まっているということでしょう」と分析した。
3年15億円を用意している西武は19日以降、再度浅村と交渉に臨む構えで、渡辺久信SDが出馬して引き留めに動く。
「環境を変えてやりたい気持ちもある。マンネリ化はしたくない」
FA権を行使した際にこのようなコメントをした浅村。移籍に向けてすでにその心は決まっているのかもしれない。