政権が「入管法改正」こだわる意外な理由 きっかけは9月の総裁選だった?

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   「拙速」批判が相次ぐ入管法改正。安倍政権がこうも「前のめり」になる理由とは――。

   単純労働を含む外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案が開会中の臨時国会の最大の焦点になっている。新たな在留資格「特定技能」を2019年4月に創設するもので、就労目的の在留資格を医師や弁護士など「高度な専門人材」に限ってきた従来政策からの大転換になる。政府・与党は臨時国会での成立を目指すが、法案の中身が生煮えなことに野党は批判を強めており、成立のめどは立っていない。

  • 安倍首相の思惑とは――?
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「実質的な移民政策」と言われる理由

   法案は、入管法改正案のほかに、法務省入国管理局を「出入国在留管理庁」に格上げする法務省設置法改正案もセット。目的は、なんといっても、経済界が熱望する深刻な人手不足対策だ。そのために単純労働を含め多業種に外国人の受け入れを拡大する。

   具体的に、新たな在留資格は、(1)一定の知識・経験を要する業務に就く「特定技能1号」(最長5年、家族帯同不可)、(2)熟練した技能が必要な業務に就く「特定技能2号」(在留期間更新可、配偶者や子どもの帯同可)――の2種類。現行の技能実習生制度(最長5年)も残し、大枠として、実習生→1号→2号とステップアップしていく道筋ができる。実習生~1号は「単純労働」を含むことになる。3年以上の経験がある技能実習生は「一定の技術も日本語能力もある」とみなし、無試験で1号を取得でき、実習~1号で最長10年働ける。さらに、試験を経て1号から2号へ移行でき、2号は永住に道が開ける。「実質的な移民政策」と言われる所以だ。

   受け入れ業種は、「人材を確保することが困難な状況にあるため、外国人により不足する人材の確保を図るべき分野」と規定。いまのところ介護や建設など、14業種が検討の対象になっており、2号を希望するのは建設や自動車整備など5業種程度とされるが、今後、増える可能性がある。いずれも法相が各分野の所管閣僚らと協議して政令で定めるとして、法律には明記しない。

   どれだけ受け入れるかが大きなポイントになるが、政府は受け入れ人数に上限を設けないものの、人手不足が解消された場合、受け入れを停止するとしている。夏の時点で、5業種で2025年に50万人超の受け入れ拡大との試算が出されたが、業種の拡大でさらに膨らむ見通しだ。

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