慶應「評議員選」、スルガ銀・岡野前会長は落選 東電元社長に次ぎ、「不祥事企業のトップ」救済されず

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   学校法人慶應義塾の最高意思決定機関にあたる「評議員会」のメンバー101人がこのほど改選され、2018年11月から新たな任期が始まった。このうち30人いる「卒業生評議員」は、全国に約30万人いる「塾員」と呼ばれる卒業生による選挙で選ばれ、大企業の社長・会長やその経験者が数多く立候補。選挙戦の過熱が指摘されることも多い。

   前回14年は、原発事故時に東京電力の社長を務めていた清水正孝氏(1968年経済学部卒)が候補者として名前を連ねたものの、結局は選ばれなかったとして話題になった。今回立候補した「不祥事企業」トップはどうなったのか。

  • 「不祥事企業」でも岡野氏と大林氏とで明暗が分かれた
    「不祥事企業」でも岡野氏と大林氏とで明暗が分かれた
  • 「不祥事企業」でも岡野氏と大林氏とで明暗が分かれた

「卒業生評議員」で落選、「塾員評議員」でも救済されなかったのは...

   評議員には、「推薦評議員」「塾員評議員」「卒業生評議員」「教職員評議員」の4つの区分がある。そのうち「卒業生評議員」の投票が10月1日に締め切られ、10月31日に改選された101人が発表された。選管が発表するのは氏名だけで、どの区分で選ばれたのかは明らかにされない。仮に「卒業生評議員」の枠で落選したとしても、「卒業生評議員」と、前期の評議員会が選ぶ「推薦評議員」が選ぶ「塾員評議員」の枠で救済されることが多い。そのため、「卒業生評議員」の候補者として名前があったにもかかわらず、評議員に選ばれない人は極めて珍しい。このレアケースにあたるのが、14年の清水氏だ。

   18年の選挙は56人が立候補。「問題企業」からの立候補だとして波紋を広げていたのが、シェアハウス関連の融資をめぐる問題でスルガ銀行の会長を9月に辞任した岡野光喜氏(1967年経済学部卒)と、リニア中央新幹線をめぐる入札談合事件で法人としての責任を問われた大林組の大林剛郎(たけお)会長(1977年経済学部卒)2人だ。

   結論から言うと、「卒業生評議員」候補者56人のうち、改選された101人の中に名前がなかったのは岡野氏だけだった。

   明暗が分かれた理由は必ずしも明らかではないが、スルガ銀行の事案では、同行は11月12日、一連の不正融資で多額の損失を招いたとして、岡野氏ら現・旧経営陣の計9人を相手取って総額35億円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁に起こした。銀行が元首脳を提訴するという異例の事態だ。

   これに対して、リニア談合事件では、法人としての大林組と清水建設が独占禁止法違反(不当な取引制限)罪で起訴され、10月22日の東京地裁判決で、大林組に求刑通り罰金2億円、清水建設に罰金1億8千万円(求刑罰金2億円)を言い渡している。

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