「セクハラおっさんを守るポスター」と批判続々 それでも内閣府が撤回しないわけは?

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   内閣府が公開したセクハラ防止ポスターについて、ツイッター上などで疑問や批判が相次いでいる。

   こんな発言がセクハラ?と言っているように、逆に受け止められかねない内容のためだが、ポスターを擁護する声も出ていて論議になっている。

  • 論議を呼んだ内閣府のポスター
    論議を呼んだ内閣府のポスター
  • 論議を呼んだ内閣府のポスター

「これもセクハラ?」の言葉が「『許してくれよ』に見える」

「今日の服かわいいね。俺、好みだな」
「痩せてきれいになったんじゃない?」

   こうした男性の発言について、女性からは、「関係ないでしょ!」「そういうとこだけ見てるんですね...」といった反発が出る。

   これに対し、男性に扮した俳優の東幹久さん(49)が戸惑った表情を示す。

「これもセクハラ?」

   東さんの顔とこの発言は、ポスターの中心で大きく強調されている。

   これだけでは、発言のニュアンスがよく分からない。知らなかったと焦っている、セクハラかと疑問に思っている、のどっちにも取れるからだ。

   そして、ポスターの下の方を見ると、やっとニュアンスがはっきりする。

「セクハラを決めるのは、あなたではない!」
「相手や周囲に配慮した言動を!」

   東さんがその通りだといった様子で人差し指を上げている。つまり、知らなかったと焦っていては遅いということを意味していたわけだ。

   このポスターは「女性に対する暴力をなくす運動」の一環として、内閣府が作成したものだ。報道によれば、約2万7000枚が印刷され、自治体や交通機関などに配布された。ところが、内閣府が2018年11月12日に公式ツイッター上で、「ぜひご覧ください」としてこのポスターを投稿すると、一見だけではむしろ逆の意味に受け取れてしまうといった不満も相次いだ。

   「このくらい許してくれよダメなのかと言ってるようにしか見えない」「女性はクレーマーだから気をつけろみたいな非難の感情を感じます」「女性じゃなくてセクハラおっさんを守るポスターになってますよ~」といったものだ。

「セクハラへの認識の低い人」に分かってもらうために

   このほかに、「セクハラを決めるのは、あなたではない!」を大きく強調すればよかった、女優などを起用して「これもセクハラ」と言わせる方が分かりやすい、といった意見も出た。

   こうした反響ぶりは、雑誌、テレビなどでも相次ぎ取り上げられる事態にもなった。疑問や批判に対し、内閣府の暴力対策推進室は11月16日、「貴重なご意見として受け止めます」とJ-CASTニュースの取材に答えたが、ポスターの撤回などはない考えを改めて示した。その理由については、こう説明する。

「親しさを表していたとしても、相手の容姿、プライベートの何気ない一言が不快に感じられることもあるということを、セクハラへの認識の低い人にも理解してほしかったということです。今後は、その趣旨について丁寧に説明していきたいと思っています」

   もっとも、ポスターについて擁護する向きもあり、「批判してるコメント、言掛りレベルだ」「意識のない層向けと考えるとおかしくはないと思う」「『確かになあ』と思ったし、啓発の意図はわかりました」などの書き込みがあった。

   さらに、男性の発言はセクハラではないのではないかという声も一部であり、「痩せて綺麗になったって言われたら普通に男性から言われても嬉しいけど」「女性のご機嫌を過度に伺うために男性が生まれてきたんじゃない」との意見が出た。

   暴力対策推進室の担当者は、男性の発言について、「その言葉自体がセクハラということではありませんが、相手がどう感じるかで不快にさせることもある言動ということです」と取材に説明した。ポスター作成に当たって広告代理店と相談したとしながらも、話題作りを狙ったことについては否定した。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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