毎年11月の第3木曜日に解禁されるワイン「Beaujolais nouveau」。今年(2018年)も11月15日に解禁され、話題になっている。
その名の通り、フランスのBeaujolais地方で作られる新酒なのだが、あなたはどう発音しているだろうか。ボジョレー・ヌーボー? ボージョレ・ヌーヴォー? はたまた――。
アサヒ、サッポロ、キリン系は「ボージョレ」、サントリーは「ボジョレー」
「正しい読み方」は、毎年この時期になるたび注目される。インターネット上でも同様で、2004年にはすでに「Yahoo!知恵袋」で、「ボジョレー・ヌーボーとボージョレ・ヌーボーって何が違うんですか?」といった質問がされていた。その疑問は10数年たった今も同じで、18年のツイッターにも、
「ボジョレーなの?ボージョレなの?」
「ボージョレなのかボジョレーなのかヌーボーなのかヌーヴォなのかはっきりして!」
「平成時代も30年が経ち終わろうとしているのに、未だに『ボジョレー』なのか『ボージョレ』なのか統一されない」
といった戸惑いの声が出ている。
まずは、酒造や流通の主要各社が、どのようなカタカナを振っているのか、公式サイトの表記をもとに調べてみた。すると「ボージョレ」を冠しているのは、酒造がアサヒビールとサッポロビール、メルシャン(キリン傘下)、流通がイオン(ミニストップ含む)、セブン&アイ(セブン‐イレブンなど)。「ボジョレー」派は、酒造がサントリー、流通がローソンとファミリーマート、西友といった具合。ディスカウントストアのドン・キホーテもこちらだった。一方、「nouveau」は、サッポロビールの「ヌーボー」、アサヒビールの「ヌーヴォ」を除き、先にあげた各社は「ヌーヴォー」でそろっている。
メディアの「教科書」、記者ハンドブックは...
ではメディアは、どう伝えているのだろうか。新聞各社を見てみると、朝日、読売、毎日、産経、日経(いずれもウェブ版)の直近記事は、固有名詞やコラムなどに一部「ボジョレー」表記があるのを除けば、おおむね「ボージョレ・ヌーボー」で横並びだった。
テレビ各局はどうか。11月15日朝のニュース番組で、各局のテロップを比較すると、おはよう日本(NHK)とグッド!モーニング(テレビ朝日)、あさチャン!(TBS)が「ボージョレ」。ZIP!(日本テレビ)、めざましテレビ(フジテレビ)、Newsモーニングサテライト(テレビ東京)が「ボジョレ」とクッキリ割れた結果になった。「nouveau」については、「ボジョレ解禁」のみテロップで伝えたZIP!以外は、「ヌーボー」で一致。なお、これら各局のニュースサイトでも、ほぼ放送に準ずる形になっている。
各社で表記が揺れているとき、頼りになるのが共同通信社の『記者ハンドブック』だ。これに準拠していれば間違いない――と引いてみると、「ボジョレ・ヌーボー」とある。共同通信と新聞各社が違うのかと驚いていると、同僚に「こっちには『ボージョレ』って書いてあるよ」と指摘された。見ると、彼が持っているのは2016年刊行の第13版。私の手元にあるのは第12版(10年)。この10年弱で、メディア的な「正解」は、伸ばす方になっていたようだ。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)